第162話 昔昔あるところに――転生者 ◆
ルイ・ノグモの時代が続いていたら。3つの国――という時代はなくなっていただろう。1つの大きな国が出来ていただろう。
しかし3つの国というのは現在もある。
悠宇たちがなんやかんやと巻き込まれてしまった時代でも健在である。
その理由は――新、ルイ・ノグモの時代は十数年で終わりを告げたから。
何故そんなことになったかというと――ルイ・ノグモが身体を乗っ取られたからである。
乗っ取られたと気が付くこともなく。ルイ・ノグモの生涯は終わっただろう。
ちなみにルイ・ノグモに身体を乗っ取られた子の魂はルイ・ノグモの魂が入り込んできたその瞬間に自分の身体の奥深くに――そして小さくなっていき――なんの反応もなく消えていったのだった。
つまり、身体を乗っ取られた新、ルイ・ノグモも同じように乗っ取られたと気が付くこともなく。その人生を終えたのだった。
この時をもって一応2代続いた新、ルイ・ノグモの時代に終止符が打たれた。
新、ルイ・ノグモの人生に終止符を打ったのは――ルイ・ノグモとは全く関係ない。そもそもこの世界の誰とも関係ない別世界の人間だった。
それはこの地へと突然現れた存在。
何故そんなことが起こったのかは、それこそルイ・ノグモの乗り移り以上にわからないことだが――でもそもそもそんなイレギュラーなことの原因を作ったのはルイ・ノグモだった。
もともとルイ・ノグモが自分の子の身体を乗っ取った際に、通常ではありえないことが起きた。というか起こした。つまり――ルイ・ノグモが乗っ取った自分の子の身体は一部通常の人とは違うことが起きていた。
簡単に言えば、他から少なからず乗り移りやすくなった。道が出来ているような状態だったのだ。
そしてまたそんな身体にたまたま。これは本当にたまたま。この地ではその言葉すら知る者は今のところいなかった転生者の魂が入ってしまったのだ。
そんな確率はとんでもないものだが――起こってしまったことだ。
さらにこの新、ルイ・ノグモの身体に入った転生者が超問題ありの厄介者だった。
周りから見れば今まで通り。何も変わらない新、ルイ・ノグモ。亡き父の跡を継いだ子。覚醒した子だったのだが。
もう身体の中身はルイ・ノグモという魔族の記憶を持った転生者が居る状況。
つまり今は転生者の魔王。というのが誕生していた。 何度も言うがこれは本人しか知らないことだが――。
とにかくだ。この転生者の魔王。元、新、ルイ・ノグモの身体を得た人物は――。
「――ここは?確か俺は飛び降――いや、でも生きている?って、俺はルイ・ノグモ。いや、そんな名前じゃなかったはずだが……思い出せない。でも――俺はとてつもなく強い魔王って、ことはわかる――つまり……これは、そうか。周りから馬鹿にされ続けた俺へのご褒美!そうか。転生したんだ。すでに権力ある人間に俺はなった。もう周りなんて気にしなくていいってことか。俺がしたいようにしていいと!ふっふっ見てろよ。今まで俺のことを無能扱いしやがった奴らに――見せつけてやる。ふははははっ」
すでに元の世界の名前すら忘れているのに、何故か一部だけ記憶を残したままやって来た転生者。見せつける相手はこの世界にはいないのだが――。
この転生者が魔王になったことでこのエーテル域はあっという間に力を失うこととなるのだった。
そしてこの転生者の魔王――数百年後にまで影響してしまうあることをしてしまうのだった――。
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