第126話 シェアトは知った

 シェアトの腕を掴んでコンビニから逃走した悠宇。

 後ろのことは何故かたまたま居た獅子に任せたまま(獅子は悠宇の存在には――気が付いていないかもしれない)で、少し心配していたが。今はそれよりシェアトを厄介事に巻き込まないために移動をした。

 少しシェアトと共にコンビニから移動すると、あたりは暗く。人影もない静かな場所へと来ていた。


「――はぁ。なんでこんなことに――って、シェアト。そもそもなんでここに?」

「いや――それは悠宇も。って、悠宇」

「えっと――何か?」


 すると、暗い中でも何故か目を輝かせているのがわかるくらいキラキラさせながら、シェアトが悠宇を一直線に見た。

 完全に補正でもかかったように悠宇を見ている――ようにも見える。

 もちろんすぐにシェアトの視線に気が付いた悠宇はなんか――いやな予感がしつつも一応返事をした。


「やっぱり悠宇と私は結婚するべきよ!」

「――」


 悠宇の嫌な予感当たり。

 何故か再度行われるシェアトからの告白――?求婚。

 ちょっと雰囲気で予想できていた悠宇は一呼吸置いてから答えた。


「なんでシェアトがあの場所に1人で居たんだ?」

「なんでスルーするの!?」

「いや、今はそうい時じゃないというか。確かシェアトは海楓と居たはず――」

「――あっ」


 すると、急にシェアトの表情が変わった。

 今までは悠宇の方を王子様――と、言わんばかりに見ていたが。今はとっても警戒をしているような厳しい表情。

 何事?と、悠宇が思いつつシェアトの反応を待つと――。


「――悠宇」

「うん?」

「海楓になんで料理をさせるの誰も止めないの!?」


 悲痛な叫び?が聞こえて来た。


「あー、うん。まあ誰もが通る洗礼というか。予想はできていたけど、多分死ぬことはないと思ったから」

「ちょ、悠宇知っててちかと帰ったわけ?って、この様子だとちかも知っていたわね。この2人――酷い」

「いや、えっ?そんなやばいもの出てきた?」

「あれは食した瞬間苦しみに悶え。それはそれは悶え、悶え、悶え……」

「いや、めっちゃ苦しむな」

「だって毒よ毒!」

「はっきり毒と言われる海楓の料理――って、そこまでだった?」

「もう甘いのか辛いのか。ねばねばなのかさらさらなのかそもそも色が毒だったわ」

「……シェアトは過去一を経験した可能性か」

「もちろん食べてないわよ!悠宇との子を作るまでは」

「いや、そこに戻らなくてよかったというか。えっと――とりあえず、雰囲気的に海楓がやばい料理作って――えっと、食べて逃げてきた?」

「食べたら死んでるわよ!」

「おうおう、って、じゃあやばいと思って逃げてきたと」

「そうよ!そしたらすっかり忘れていたけど、この場所じゃ精霊いないから危機も何も察知できないのよ」

「あー、そりゃ。というか。そもそもまだシェアトの能力?言うのか。それが俺ははっきりわかってないんだけど」

「普通ならそこそこへっぽこ相手なら私が無視しているうちに何とかなるわ」

「――それはそれはって、まあとりあえず精霊?はここにはいないから――って、多分というか確実にこの地では誰も能力は使えないと」

「そうなの?」

「まあね。まあ――ちょうどこの場所は別かもだけど」

「うん?」


 栓が外れたように話し続けていたシェアトを見つつ悠宇はふと後ろを見た。

 するとシェアトもつられるように後ろを見ると、そこには鳥居があった。そしてその鳥居の少し先には建物も――。

 そう、悠宇とシェアト、今は静かな神社の前で話していたりするのだった。

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