第110話 2人のコソコソ
海楓の家に到着した後の悠宇は片付けをしていた。
一応海楓の家のことも何故だか知っている悠宇。というか。それだけ来ているということでもあるが。とりあえず荷物をそのままというのは何をしても邪魔になる可能性があったので、悠宇が隅っこなどに片付けていると。海楓が近寄って来た。
「悠宇が女の子家で何かもぞもぞしてるー。お巡りさんお巡りさんっと」
「めちゃくちゃなことを普通に言ってくるな。っか学校モードどこ行った。日常生活ももっとまじめになれよ」
「それは外だけだし。疲れるじゃん」
「――ですよねー。って、荷物こんなんでいいか?」
「うん。大丈夫大丈夫。そのうち適当にしておくから」
「じゃこれでいいか。って、シェアトは?」
「今私の部屋」
「――それは――いいのか?」
シェアトを部屋に一人だとそれはそれで何をするのかわからないのでは?などと悠宇が思いつつ海楓の方を見る。
すると以外にも海楓は何事もないでしょうという表情だった。
「大丈夫だよ。ちかちゃんも居るし」
「あー、そういやちかの姿ないな」
片付けをしていて気が付かなかった悠宇だが。どうやら悠宇が片付けている間にちかもシェアトの元へと移動したらしい。今は悠宇と海楓しかいない。
「あっ、ちかちゃんで思い出したけど」
「うん?」
「ちかちゃんの家って悠宇見たことある?」
「えっ?まあ――建物は。室内は知らんがな。ちか入れてくれないし。何があっても絶対に。昔は――入った気もしなくはないが――ここ最近は全くだな」
「うんうん。なるほどー」
「何がなるほどなんだよ」
1人で謎は解けた。といった表情をしていた海楓に突っ込む悠宇。
「いや、ちかちゃんがなんか人を家に入れるのを嫌ったような雰囲気がさっきあったからね。ちなみに私も知らない」
「それは――散らかっているんじゃないか?あと、海楓に関してはまあ今みたいに頻繁に会うのはホントここ最近だろ?」
「ちかちゃんのことだから、散らかってはない気がするけど。だって、悠宇の家見てたら、あれよりはひどくならないと思うし」
「――何も言えねぇー。って、それは俺が悪いんじゃないからな?元からだからな?」
「まあまあ」
「まあまあってな」
「でも、不思議なんだよね。ちかちゃんもほとんど1人暮らしなのに、悠宇を招かないって」
「――どういうことだ?」
海楓が少し真面目に考える素振りをしながら話し出したので、悠宇も少し真面目に話を聞こうとすると――。
「いや、2人きりになれるでしょ?やり放題じゃん?何してもOKでしょ?なのに悠宇を招かないって――」
「よし。海楓はそこに正座。説教。いや教育が必要と見た」
海楓は特にこれと言って真面目に考えていることはないと即判断した悠宇はこちらも適当に相手をすることにした。
「いやいや、真面目な話しだから」
「全然真面目じゃないだろ?」
「まあねぇー」
「さらっと認めるんだな。って、ちかはそんな奴じゃないだろ。どちらかと言えば海楓の方が――問題だな。学校の姿なら――だが」
「えー、私悠宇を連れ込んでるけど。そんな事ちょっとくらいしか思ってないよ?」
「――ちょっとくらい思っていたことに驚きなんだが……って、冗談言ってないで2人見てこなくていいのかよ。絶対シェアトに漁られてるぞ。ちかじゃ面倒見れないだろ」
「大丈夫だよ。変なものないし。あっ、変なものと言えば、もしかしてちかちゃんの家って悠宇グッズで溢れていたりして?」
「なんだよそれ」
「悠宇の隠し撮り写真がたくさんとかさー」
「ないだろ――ってもしあった場合今の海楓の言い方からして、俺の写真は変なものになるんだが」
「変な物でしょ?」
「サラッと言うな。さらっと」
「だって、悠宇の写真とか危ないでしょ?」
「いやいや、危ないってな。なんでだよ」
「危ないでしょ。悠宇の写真とかグッズ見てニヤニヤとか――うんうん」
「それはちかが危ないということだな」
「えっ?悠宇がでしょ」
「なんか話がおかしんだが?って、こんな話しなくていいだろ」
「えー、わかんないじゃん。悠宇の家のどこかに女の子の隠し撮りの写真があったりしたら」
「ちょっと待て、話が明らかに変わったというか。おかしい方向になったんだが?なんだ?海楓は俺を刑務所送りにでもしたいのか?」
「なるほど。刑務所に行った主人公の話――」
「……」
こいつダメだ。どうも俺なんかを主人公みたいにしようとしている。などと悠宇は思いながら、海楓は無視して一応小さいが聞こえて来ているちかとシェアトの声のする方へと歩き出した。
「あっ、悠宇が人の家の中を勝手に――」
「いつもの事だろうが」
「えっ!?」
「なんで驚くんだよ。って、海楓の相手している方が疲れてきたわ」
悠宇と海楓のちょっとした無駄話。
でもその話。かなり正しいことをも含まれていたが――今の2人は――。
(――まあちかとは写真ちょくちょく撮ってるし。ちかに変なこと使われるくらいは問題ないか。って――まさかねー)
……1人はまだまだ気が付かないが――もう1人はそのうち気が付くかもしれない。
でも今のところはちかの秘密は誰にも漏れてない?だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます