第109話 秘密事項――?

 少し前に海楓の家へと到着した悠宇たち4人。今は荷物を置いたりとしているところだ。


「これが海楓の家――私が前住んでいたところよりかはもちろん小さいけど、最近は地下での生活だったからね。このくらいが落ち着くわね。って、ここは靴脱ぐの?」

「うん。そこに脱いで」

「ちょっと不思議ね。って、これ何?良い手触りね」

 

 実はシェアト、悠宇の上では普通に土足だったのだ。って、悠宇たちもいろいろあり気にしていなかった。そもそも悠宇の家散らかってる――と、いうことで、ここにきて初めてシェアトは家の中では靴を脱ぐということを知り。

 そして今は畳に目を輝かせていた。どうやら気に入ったらしい。


「海楓。これどこ置くんだよ」

「あっ、適当にー」


 悠宇はというと荷物の片付け中だ。


「海楓ー。勝手に部屋見ていいわよねー」

「いやいや、適当ってな」

「いいよー」

「おい、俺の話聞いてるか?」

「えっ?何?」

「――聞いているようで聞いていなかった」

「……なんかみんな自由――いや、悠宇先輩だけが真面目に片付けをしている――って、本当に海楓先輩の家にみんなで来ちゃった!?」


 そして海楓の家に着くなりシェアトは畳に目を輝かせた後はさっそくぶらぶらと。

 海楓は荷物をすべて悠宇に丸投げ。

 悠宇はその荷物を片付けている。

 ちかは――3人を見ていたりするのだった。

 

 一気に海楓の家の室内が賑やかになった。

 なお、海楓は特に室内を見られるのは嫌ではなかったので、シェアトを自由にさせたため。即シェアトは悠宇の視界から消えたのだが――今は多分大丈夫だろう。

 

 ということで、それぞれ4人が一応片付けで今は忙しそうなので、ここでどうでもいい情報を話しておくとしよう。


 ◆


 何故突然ちかが自分の家にシェアトを連れて行くのを渋ったか。


 普通なら自分の家に悠宇たちが来るのが恥ずかしい。ちょっと散らかっている。などと思うかもしれないが。ちかの家は、特にそのようなことはない。いつでも誰か来ても問題ないレベルである。

 あるのだが――秘密はちかの部屋にある。


 ちかの部屋の中を勝手に紹介すると、悠宇の写真で溢れていたりする。

 壁に悠宇である。また天井にも悠宇だったりする。

 ちかという娘。とにかく悠宇が好き。本当に好き。ずっと好き。でも今はそのことを隠している(隠せていないことに本人は――気が付いているのだろうか……)。

 とにかく、悠宇が大好きなちか。家では基本1人のため。はじめは寂しいから悠宇と一緒に撮った写真を飾っていた。

 悠宇とちか、もともと写真は良く撮っており。それぞれのスマホにはそこそこの量の写真があったりする。

 ちかもはじめはまだ写真を見るだけだった。いや、今でも写真と言えば写真だが――ちょっと大きくなって。印刷されている

 そして枚数も増えていたりし。さすがに部屋全部が悠宇ではないが。室内ではどの方向を見ても悠宇の写真が視線に入るようになっていたりする。

 ちかにとってはこれは寂しいのを紛らわす。そして落ち着くため――なのだが。さすがにこれがバレるとやばい。悠宇にドン引きされると思っていたため。急遽シェアトが来るを渋ったのである。


 ◆


 そんなこんなで、海楓の家に到着した後のちかは一安心となったりしていたのだが――。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る