第120話 冥界? ★

 先に言っておこう。

 馬鹿の様子は特に知る必要はない。


 ★


 「いくつになってもポニテサイコー!ひゃっほい!!お姉ちゃん。もう一杯!」


 グラス片手に元気に腕を伸ばしている高齢の男がいた。


「はいよー。飲みすぎないでねー」

「全く酔っとらんわ!がはははははっ!ほらほら。みんなも飲めや飲めや!全部俺の奢りじゃーどんどんいけー!」


 ここは10人程度が入れるくらいの大きさのお店。

 そのお店をほぼ貸切る形で高齢の男性が大盛り上がりしていた。


 ちなみにこのお店のある場所は、というか。この高齢の男が今いる場所は、悠宇たちの住んでいる世界でも。シェアトたちの住んでいた世界でもないまたどこか別の世界だったりするが。

 あたりを見渡せば、古びた多くのお店に赤い提灯が並ぶどこか懐かしさがある場所。

 時間は夜。

 あちらこちらからいい香りが溢れている。

 そんな場所で多くのお面を付けた人たちが楽しい時間を過ごしている。

 歌声が聞こえるところもあれば。賭け事でもしているのだろうか?盛り上がっているところなど様々だ。

 一体この場所はどこなのか。

 それはに聞く必要があるだろうが――。


「そこのおっぱいのおおきいの。もっとこっち来い来い。いや――眼福じゃあ」


 ……多分聞いたところでまともな回答はないだろう。

 すでに茹でたタコのように顔全体真っ赤である。スキンヘッドの頭のてっぺんまで赤く。そのうち噴火するのではないだろうかとも思える。

 そんな男の両手どころか左右には4、5人ずつ美人を集め大盤振る舞い中である。

 お店は貸し切り状態で、男の目に留まった人がどんどん開いているドアから店内へとどんどん呼ばれているような状態だ。

 普通ならこんな酔っ払いには絡まれたくないだろう。誰かそろそろ止めてやれ――などと思うかもしれないが。男を止める者はいない。

 というか男の近くに来た者は、男に酔っているかのように大盤振る舞い中の男を優しい目で見ている者もいれば。すでに目がハートの出来上がっている人も居たりと。よくよく見ると異様な光景かもしれないが――それは当たり前だ。


 だって、なのだから。

  

「かわい子ちゃんサイコー!ヒューヒュー。脱いでいいよ!ここでは自由だ!どんどんやっちまえー」


 ――とにかくお店でどんちゃん騒ぎをしている男。

 馬鹿やっていると思うが――しかし男の周り。そもそもあたり一帯は何故か楽しい雰囲気。幸せそうな雰囲気に包まれているのだった。


 ちなみにこのどんちゃん騒ぎをしている男。少し前まで生きていた世界ではと、名乗っていた男だったりする。

 まあ今この場所では男の過去を知る者はいない。というかここに今いる者たちは――。


 とにもかくも。この暴走爺。そう簡単には人生をやめるつもりはないらしい――いや、やめたからこのようなことになっているのだろうか?まあ今は何を言ってもだろう。

 女の子とはちゃめちゃに遊んでいる男。

 男が残してきた前の世界ではいろいろ起こって――いや、始まったというべきか。大変なことになりそうだが。

 今のところその元凶の男はいい気分で女の子に囲まれ。この後ホテルへと消えていくのだった――。


 なお、この男自分のをかなり若く今はしていたりするので――大変元気であった。

 まあ、これはどうでもいい場。世界線のどうでもいい一コマである。


 どこかの世界線ではこの男の残したことで大変なことが始まりつつあるのに――。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る