第119話 脱線 ◆
「アクさん。これどうするんですか?」
「無理だな」
「いや、あっさりと言っていいんですか?」
ここは実りの町の駅近く。
アクの近くには何人もの男性が立っており。目の前で線路から脱線している漆黒の蒸気機関車――いや、今は砂埃まみれで傷だらけとなった機関車がある。
本来なら線路へと戻して修理――といきたいところだが。そもそもこの蒸気機関車大きい。人が数十人集まったくらいでは何もできない。おまけに機関車が脱線しているところが古い線路のところあったこともあり。脱線した機関車の三分の一くらいが土に埋もれてしまっている。どうやら地盤が弱くなっていたらしい。
ちなみにアクはガクから機関車を何とかせよ。と言われているのだが。これでは何もできることがなく。ただ町の人と眺めているだけだった。
「さすがにこれをこの人数。じじたちで動かすのはな」
「「「無理ですなー」」」
ガクのつぶやきにその場にいた全員が反応する。
「ガクさんこれ 解体して――とかはどうですか?」
「まあそれはできなくもないが。でも解体して俺たちで組み立てられるか?悠宇殿はいないんだぞ?」
「――」
ちらほらと意見は出るもののなかなかいい案が出ない。というか。そもそも現状この町にある能力。力では町の人全員を集めたところで何もできない。
「仕方ない。悠宇殿たちが来てくれるのを気長に待つか。シェアト様が居ない――ようだが。でも悠宇殿たちが一緒のはずだろうしな」
「そういえばアクさん」
「うん?」
「悠宇殿と一緒に居た――女の子。あの青い髪の女の子――なんか見覚えというか。あの独特の髪色――どこかで見たというか聞いたというか――なかったかの?」
「青色――あーあのシェアト様と同じくらいの。って、ちか殿か。まあ変わった色だが。悠宇殿たちの方では普通なのかもしれんぞ?」
「なるほど。にしても悠宇殿たちはどこから――」
「ほんとだな」
雑談に花が咲く?アクの周辺。
しかしこの後この場に居た全員が腰を抜かすこととなる。
なぜなら――。
――シュッ。
「「「「「「――はっ!?」」」」」」
アクたちの目の前で転覆していた蒸気機関車が突然姿を消したからだ。
もう今アクたちの目の前には蒸気機関車が転覆したことで出来た穴しか残っていない。
「――どうなってるんだよ――どんな魔法だ!?」
アクも驚きながら穴を見つつつぶやく。
ちなみに何故機関車が消えたかというと――まあそれは悠宇に聞くのが一番早いだろう。
ちょっと向こうの世界で――で、ある。
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