第118話 現実でも異世界でも共通の危険 ◆
朝からたくさん食べていたシェアト。
身体もこちらの世界に適応してきていたことも……あり?いや、実際はそのようなことは何も起こっていないのかもしれないが――。
もしかすると、悠宇たちに関しては初めてのことで戸惑いで食欲がわかなかった。または空腹にならなかった。
一方のシェアトは地下室に引きこもり状態だったのが解放。初めて見るものや、おいしそうな食べ物により。たくさん食べていただけ――かもしれないが。
詳しいことは誰のもわからないので、とにかくだ。シェアトの現状を言うと空腹状態などがいつも通りになり。海楓と話していると。海楓におにぎりというものを作ってもらい食べることになったのだが――。
シェアトが楽しみでウキウキしていたのは、ほんの少しの時間だけだった。
「これ入れると絶対美味しいと思うんだー」
奇跡的に。ご飯だけは冷凍の物を無事に解凍?できた海楓(悠宇とちかがもしその場に居た場合は――まあストップをかけられていただろうが。この場には海楓とシェアトだけ。何度でも言うが。シェアトご愁傷様である)というか、ご飯を炊くとか言っていた海楓だが――これはレンチンしただけであるが――海楓からすると炊いたに分類されるのかもしれない。
とにかく、ご飯の準備ができた海楓は目についたものを机の上に置いた。
初めのうちシェアトは海楓が行っていることを大人しく見ていた。見ていたのだが――。
「……うんん!?」
さすがのシェアト。いや、この世界の住人ではない彼女は知らないのが普通かもしれないが。とにかくだ。海楓が準備をして、机の上に並べられていったものを見て、動物的直観とでもいうのかはわからないが。何かを察知。身の危機を察知したシェアト。
しかし、この時はまだ海楓に確認をすることはできなかった。
もしかすると、ここからとってもいい香り。美味しいものができるのかもしれないと思ったからだ。なので、この時のシェアトは自分に言い聞かせた。大丈夫と。
――しかし。
その後、海楓がるんるんで作るおにぎりというのは――はじめは確か白い色をしており。そこそこいい香りもしていたのに……。
「あっ、辛いのがあってもいいかもね。うんうん。辛いのがるなら――甘いのもいるよねー」
「……」
今はいろいろな香り。酸っぱそうな香りがすると思えば。甘い香りがして、さらにはつーんとくる辛そうなものも――と。
これは言い方は悪いが『毒』と、ふと思ったシェアトは、海楓の両手が塞がっているのを確認すると。
「海楓。ちょっとできるまでもうちょっと室内見ていていいかな?どんなのができるか楽しみにしていたいから」
「いいよー」
何とか逃げようとしているシェアトの事には気が付かず?楽しそうにおにぎり?おにぎり……?色が紫だったり。黒かったり。何か汁が漏れている物もあるが……とにかく海楓は楽しそうに料理をしつつシェアトに返事をした。
そして海楓の返事を聞いたシェアトはそっと部屋を脱出。
さらにそっと玄関からも脱出して――即ダッシュ。と、なったのだった。
もちろん行先は悠宇たちのところ。
しかし、とにかく脱出。身の危険を感じたシェアトは脱出をして走り出しただけだったので、この後しばらく走った後。真っ暗で人影もないところにぽつんと1人。という状況になるのだった。
◆
「――って、ここどこよ!」
息を少し整えてから叫ぶシェアト。
周りは真っ暗。街灯はあるが建物の明かりは近くにはないところにぽつんと1人――本当は海楓の家から悠宇の家までは向きさえ間違えなければすぐだったのに――シェアトは全く逆へと慌てていたため走っていたのだ。
シェアト、悠宇たちの世界で早速迷子には――ならなかった。
なぜなら――。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます