第115話 多分――爆発はしない ◆

「じゃ、シェアト何食べたい?」

「おお、海楓なんでも作れるの?」

「うん。任せて」

「すごい!」


 海楓の言葉に笑顔を爆発させているのはシェアト。

 ここは海楓の家。今はシェアトと海楓が悠宇たちを見送り。台所へと移動している ところである。


「シェアトは何が好きなの?」

「甘いもの」


 考える時間なし。即答だった。


「今日たくさん食べていたよねー」

「いやだってこっちの食べ物すごいじゃん。まあ向こうもすごいときはすごいんだけどさ。今はあんな状態じゃん」


 シェアトのあんな状態というのは町がボロボロ――というところは実際そこまで見ていない悠宇たちだが。すでに悠宇の家のレイアウトを見ていた海楓は多分あんな感じになっているところがたくさんあって、その中に元シェアトが暮しているところがあるんだろうな。などと思いつつシェアトと話し。

 そせっかく安心して過ごせるこちらに居るので盛大に。盛大に何か作ってあげようなどと思っていたのだが――。


 シェアトはまだ知らない。


 海楓の料理を――。


「向こうのことも悠宇が何とかしてくれるよ」

「さすが私の婚約者!って、そういえば海楓は悠宇の事好きなの?」

「えっ?私?」

「うん。だってちかは駄々洩れでしょ?」

「だねー。まあ悠宇がどう思っているかは知らないけど――って、私も好きだよ?うん。ずっと一緒に居るし。悠宇と居ると楽だからね」

「楽――?」

「そうそう、悠宇の前ならだらけれるじゃん」

「――なるほど。私と同じか」


 何やら納得しているシェアトだが――海楓の思っていることと、シェアトの思っていることはちょっと違うのだが――今ここには2人しかおらず。特に会話に加わって来る人も居ないためそのまま話は進んだ。


「で、シェアト何が食べたい?まあ家にあるものだけど――」


 ちなみに家にあるものなどと海楓は言っているが。今の海楓本当に見るまで何があるかわからない状況なのに――何かはあるでしょ。という軽い考えを持っていたりする。まあいつも通りということである。


「今日いろいろ食べたからね。って、なんか朝はたくさん食べれたんだけど。今はいつも通りというか。なんかそこまでお腹空いてない?」

「なら、おにぎりとかどう?お昼に食べたお寿司とはまた違って、ご飯にいろいろ入れて食べるんだよ。知ってる?」

「――おにぎり――?ご飯――は聞いたことって、そうかお昼にもお寿司で食べたわね」

「お昼のあれは酢飯になると思うけどね」

「酢飯――?」

「そうそう。まあご飯はご飯だよ」

「お昼のも美味しかったからね。じゃそのおにぎり食べましょう

「じゃあ決まりだね。じゃあご飯炊かないと」

「炊く――?」

「そういえばシェアトって料理するの?」

「させてもらえないのよねー」

「お姫様だからね。まあ一緒にできることもあると思うからしようか」

「いいわねー」


 おにぎりを作る気満々の海楓が台所へと入っていく。

 そしてついていくシェアト。

 そのあと一応海楓はお米を炊きだして――おにぎりを作るというところまではいくのだが――。


 このあと1時間半くらいすると。海楓の家にシェアトの姿はなくなっていたのだった。

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