第99話 まだ盛り上がっていた ◆
ここは実りの町。
高齢者ばかりが住んでいる小さな町。
しかしこの町が今。湧いていた。
「――シェアト様ご無事だったか!」
「めでたいめでたい」
「そしてお綺麗だったな」
「これならもしかすると――だな」
「ああ、間違いねぇ。逆襲の始まりじゃ」
「国に戻れるかもしれんな」
「ここも慣れたらいいところだがなー」
高齢の男女が集まり少し前の出来事を再度話していた。
何があったかというと、大炎上。黒い集団が攻めてきた際に行方不明。もしかすると命を落としたかもしれないと言われていたシェアト様。王女様が生きていたからだ。
元気な姿を町の人の前に見せてくれたため。多くの人が生きる希望を再度思い出盛り上がっていた。
「にしてもシェアト様。いつの間に婚約を――」
「おい、お前たち。だからシェアト様の話はやめろ言っているだろう」
高齢の男女が盛り上がっていると、ツルツル頭の男性が近づいてきた。
名前をベクという。ちょっと少し前にいろいろやらかしたが――でも何とか職は失わずにいる男性。今はまた町の人のまとめ役をしていた。
「いや、ガクよ」
「そうそう、なんで言っちゃダメなんだよ」
「むしろ祭りだろ」
「「そうじゃ、そうじゃ」」
「だ・か・らー。その話はやめんか!」
ガクにシェアトが居たことは伏せろ。と、言われているベクが町の中を歩きまわり頑張ってみんなの口止めをしようとしていたが――。
この町の高齢者たち。みんな雑談が大好き。
何度口止めをしようとしてもどこからとなくまた話が始まるのが現状だった。
ベクの頑張りは――ほぼほぼ無意味だった。
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