第100話 お出かけ!9

「お、終わりました」


 少し疲れた表情のちかが悠宇たちに報告した。

 ちかの持っている買い物かごには、かごいっぱいの衣類が入っている。というか押し込められている。何着入っているのだろうか――。

 

「悠宇ー。後で買った服見せるから」

「――あ、ああ」

 

 ちなみに、シェアトの方はちかのように疲れた様子はなく。むしろイキイキとしている。どうやら服選びは楽しかったらしい。

 なお、悠宇はというと、なんかありそう――と、嫌な予感がしていたりするのだが……それはもう少し後でわかることである。


 それから悠宇たちは会計を済ませてお店を出た。

 そして自然な流れで荷物持ちとなった悠宇の両手には服屋の袋である。 

 かごの時点でパンパンだったので、もちろん袋に入ってもパンパンであるが。でも、悠宇は何も言わない。普段から海楓やちかと過ごしているだけあってか。自然と出かければ荷物持ち。というのが身体に染みついているからである。


 「この後はどうするの?見たことないお店いっぱいでどれも見てみたいんだけど」


 服屋を出た後。まだまだ元気なシェアトはまた周りのお店をキョロキョロ見つつ。悠宇たちに話しかけた。

 本当にシェアトはまだまだ疲れていないらしく。どこにでも寄れるといった様子だ。足取りはかなり軽い。

 一方で、ちかはちょっと疲れ気味だ。表情には『もうシェアトの相手はいい。めっちゃ疲れたんですけど――』と、いった雰囲気。オーラが漏れている。どうやら服屋でかなり頑張っ――いや、なんやかんやでシェアトに振り回されたので、今は悠宇の隣を大人しく歩いている。

 実は悠宇が荷物を持っていなければ、コテンともたれよう――などと考えていたちかだが。今の悠宇は荷物持ち中なので、隣を歩くというので我慢していたりもする。


「そこそこ服屋さんに居たから。今いい時間だからお昼ご飯もありかな?」


 すると、シェアトと共に歩いていた海楓が提案した。

 ちなみに特に服屋では何もしていなかった海楓。見守りポジションだったため。こちらも特に疲れた様子はない。

 そして今、海楓の言ったように、実は服屋にしばらく。そこそこ長い時間居た悠宇たち。時間はもうお昼。そしてシェアトは朝からたくさん食べていたが。悠宇たち3人は普通の量だけ。特に食べすぎたとかいうことはなく。いつでも食べれる状態だったので。


「まあ、それでもいいかな」


 まず悠宇が海楓の意見にすぐ賛成。


「私も座りたいです」


 次に完全に疲れているちか座りたいアピールをした。


「ちか。疲れてるな」

「だってー、シェアトの相手大変だったんですから。試着室から何度も飛び出して悠宇先輩のところいこうとするし」

「そんなことが見てないところで行われていたか」

「行われてました。ホントさらっとカーテン開けようとしますから」

「お疲れさんです」


 そして悠宇はちかと話したことで、服屋での自分の知らなかったことを少し知るのだった。

 

「ホントですよー。疲れましたー疲れましたー」


 そんなことを言いながらちょっとちかが悠宇に甘えだした。荷物を持つ悠宇の腕を軽く突っつきだした。

 悠宇はいつもの事なのでされるがままだった。


「確かにお腹空いたかもー」


 すると、シェアトがそんなことをつぶやいたのだった。

 どうやらシェアトは朝にあれだけ食べてもまだまだ食べれる――または服屋で消化したらしい。

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