第155話 いつ出発――精霊に嫌われた?

 果たして悠宇たちはいつ出発するのだろうか。

 4人以外に人が居ないからか。誰も彼らの行動を動かす。促す人が居ない。

 蒸気機関車に乗り込んだ後もいろいろ話している悠宇たち。

 今はまだ蒸気機関車は動いていない。

 というか。走らせつつ会話をすればよかったのだが――まだ走っていない。というか。ハンドルにすら悠宇も触っていない。

 

 ちなみにだが。この蒸気機関車。悠宇たちが居ない間にいろいろあったのだが――まあそんなのはもうわからないレベルで修復されているので、これ以上触れなくてもいいだろう。

 それこそこの蒸気機関車。どっかの変態チート爺の加護?でも受けているような状態だが――そんなことに気が付けるものはこの世にはもういない。


「って、私たち何をしてようと機関車に乗ったのかしら?」


 悠宇たちの会話が脱線していると、それを戻したのは、シェアトだった。意外にもシェアトだった。

 

「あー、って、走りながら話せばよかった」

「もう、悠宇。なんで走らせてないのさ。時間の無駄じゃん」

「――なんで一緒になって話していた海楓にそんなことを言われないと――なのか」

「あのー。そろそろ出発しないとというか。このままだと私たちの学校とかも――」

 

 悠宇と海楓が話していると。ちかも会話に加わって来た。ちなみにちかはちかで発車したら前方確認などなど自分のすることを考えたりしていたのだが――そんなことを考えていたがためにか。促す。というところまではたどり着いていなかったりする。

 とりあえず、ちかの言葉により悠宇と海楓がシェアトの声かけの時より反応した。それはそのはず。こちらの時間と向こうの時間は違うが。向こうの世界。元の世界での悠宇たちはそれぞれ学業というものがある。ずっとこちらというのは難しいのだ。


「そうか。あまりにんびりしていると――か」

「悠宇に監禁されて無断欠席になっちゃうね」

「――いろいろおかしいな。って、マジで何とかしてシェアトを誰かに預けないとか。というかコールさんどこへ?」

「えー、私悠宇と一緒に生活するわ」

「いやいや、それはいろいろと問題が――」

「ないわ」

「あるから!」


 少しずつだが。シェアトの相手が?できるようになっている悠宇。

 シェアトとそんなことを言いながらやっと蒸気機関車のハンドルを持ち。蒸気機関車を走らせだしたのだった。


 ブォォォォォ。


 ちなみに、悠宇の近く。後ろで何故かずっとスタンバイしていた海楓。

 何故そこから動かなかったかというと――単に汽笛担当をしたかったから。というのは――まあ悠宇たちは?気が付かない事だったりする。

 とりあえずちゃんと汽笛も鳴らして蒸気機関車はゆっくりと動き出した。


 それから悠宇たち4人を乗せた蒸気機関車は快調に今日も線路の上を走っていた。

 車内は出発前の――まあいろいろな話から。今はシェアトと精霊の話で女性陣が盛り上がっていたりする。


「そう、あの子たちが私に触ることはできないけどね」

「でもそれってシェアトが精霊さんたちと話していると――周りからは――えっと、なんというか。誰と話してるの?的なことになりません?」

「なったなった。初めのころはおかしな子と思われていたと思うわ。でもそれこそ精霊に協力してもらって、存在をアピールしてもらって――まあ今になるわね」

「でも、なんで今はシェアトの声が届かないんだろうね?」

「それなのよね。さっきから呼びかけても――なんか遠くにいるのよね」

「この機関車がダメ?」

「そんな事――ないと思うけど。でも何かあるから近寄って来ないのかしら?まああとで私1人の時とかでも試してみるわ」


 ちなみに未だにシェアトは精霊に話を聞いてもらえない。近寄ってすら来てくれないらしい。

 まあシェアト以外の3人は精霊は認知できないため。何ともだが――。


 と、そんなこんなでしばらく悠宇たちは蒸気機関車に揺られ。実りの町に様子を見に行くのだった。


 こちらへと向かってきているガクたちと合流するまで――もうすぐである。

 ガクたちが線路の上を歩いていると――それはそれでトラブルが起きそうだが――幸い見通しは今のところ良い。あと少しもすれば姿が見えてきてもおかしくないのだが――。

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