第154話 再度実りの町へ――多分出発
出発――と、まだならない悠宇たち。
今もまだ悠宇たちは話し中だった。
というか。本来ならこの地へと来た時にいろいろ試すこともできたのだが――そんなことはなく。いろいろと?バタバタしていた悠宇たちは。やっと今シェアトの能力に注目していたのだった。
「あー、そういえばここはシェアトの力普通に使えるのか」
「悠宇たちの住んでいるところは全くだったけど。そういえばここは地下でもないし」
「ってか、よくよく考えたら。精霊を使って他の町?とも繋がれたのでは?」
「あーそれは微妙かなー。だって私しか話せないし。それに完全じゃないからね。まだまだ私の力が足りないのか。精霊の――なんていうの?子供?としか話せないし。あっ、そもそも姿は見えないからね」
「つまり――なんだ。他の様子見て来てくれと頼んでも、確実な情報が来るとは――」
「まあ今のところ限らないわね」
「――なんとまあ。でも――」
「コールさんを探すくらいは使えるんじゃないですか?」
「それもそうね。ちょっと聞いてみるわ。多分誰かは反応してくれるでしょうから」
話を聞いていたちかがふと言うと。すっかり忘れていたわ。とでもいう感じでシェアトが答えそして軽く目を閉じて、手を合わせた。
悠宇と海楓。ちかはそんなシェアトの様子を見守る。
ちなみに3人が何かを感じるということはない。
今はシェアトが願っている姿を見ている。
「……」
「「「……」」」
からの1分――2分――3分……。
「――なんでよ!?」
突然シェアトがキレた。
「えっと――シェアト?」
「何かあったの?」
そんなシェアトの様子を見たちかと海楓がシェアトに話しかける。
「おかしいわ。なんでか知らないけど。誰も近寄ってこようとしないの」
普段ではありえない。といった様子の難しい表情でシェアトが言う。
「……近寄って来ない?」
「そう。いつもならふらーっと誰か来てくれるのに。今は多分遠くには居るんだけど。何故か呼び掛けても誰も反応してくれない。ちょっと最近話してなかったからかしら?」
「精霊と話すって難しんだな」
「私たちは全くわかんないけど」
「ですね」
今のところシェアトの能力がどんなものかわかっていない悠宇たちは、シェアトの近寄って来ないという発言にはあまりピンと来ていないような反応をした。
「でも――近寄って来ないなんて。まるで誰かに怯えている――?いや、警戒しているのかしら?」
一方のシェアトは悠宇たちと出会ってから初めて――とでもいるような難しい。何か考えているような様子だった。
「精霊って人が苦手とかあるんですかね?あっ。えっと人と言っても――なんというか。俺たち。別世界の人間を嫌うとか――」
シェアトの難しそうな表情を見た悠宇が。とりあえず何か――ということで話してみるとが。シェアトの表情はあまりすっきりはしなかった。
「うーん。悠宇たちは――初めてだから何ともね。でも警戒する他に興味を持つ精霊が居てもおかしくないんだけど――昔なら私のいたずらに付き合ってくれる精霊たくさんいたわよ」
「――いたずら」
「そう。おじいちゃんたちの邪魔とか?」
「――悪ガキか」
「楽しいわよ。ちょっと書類飛ばしてみたり。食事に隠し味入れてもらったり」
「……えっとそれは――」
シェアトとの会話で、ガクさんたちもいろいろ振り回されていたんだな。などと悠宇が思っていると。
「もしかしてこの地に精霊の敵?みたいなのが居るとかなのかな?」
海楓がそんなことをつぶやいた。
「確かに――」
この何もない地だが。何もないがゆえに怪しい。もしかしたらとんでもない敵が居てもおかしくない。その敵がいるからこの地は誰も居らず。空きなども荒れ果てて――いや、隠されるような感じになっていた。まあそれが自分の家と繋がっているのは謎だが――などと悠宇が考えていると。また海楓が口を開いた。
「もしかして、悠宇がヘンテコな能力持っているから嫌われていたりして――」
「いや、な。まあ変な能力というのはあながち――だが」
「そんな事は許さないわ。私の夫になる人よ?その人を無視とか精霊の王を探して躾けないと」
「いや、シェアト。それはそれで精霊界?みたいなところとトラブルになるのでは?じゃなくても今は――そのなんだっけ?炎上?悪夢?みたいなのとシェアトたちの国は戦おうとしているんじゃ……」
少し力を入れた感じでシェアトが話すので悠宇がなだめつつ声をかける。
いろいろと突っ込みたいところは――我慢して。
「国はどうでもいいわ。悠宇と結婚出来れば!」
「……ダメだ」
我慢して――結果悠宇はがっくりと肩を落とした。
シェアトが初めて真剣に?考えていると思ったのだが――でもやっぱりシェアトはシェアトか。と思う悠宇だった。
なお、いつこの人らは出発するのだろうか?それは誰にも?わからない――と、思われる。
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