第58話 欲しいの

 シェアトの周りは昔から多くの人が集まって来ていた。

 それはシェアトの見た目に惹かれてということもあるが。多くの人はシェアトの人柄に惹かれていた。


 シェアトは小さなころから常に笑顔で、そしてみんなに優しく。誰にでも同じように接していた。そんな人が今後国をまとめてくれる人になるのが皆楽しみだ。

 しかし、皆シェアトに惹かれていたが。ある一定以上踏みこんでくる者はいなかった。

 近寄りすぎるのを皆敬遠したのだ。

 シェアトという人は特別。という周りの雰囲気が強すぎたのだ。

 小さな頃のシェアトは両親とともに動き。まるで天使のような笑顔でみんなを癒していた。

 その際は両親が居たのと、もちろん警備も居たため。深く踏み込む接する人というのはいなかった。そんなことすれば命がないからだ。

 成長した後もシェアトはみんなを癒す存在に変わらなかった。慕われていた。でも、ここでも見えない壁があった。常に遠巻きにシェアトは守られていた。何気ない会話を町の人としている時も警備の目は光っていた。

 もちろん町の人もそれは知っていたし。もし自分の子供がいれば、子どもにはシェアトと接するときは失礼のないように――などなど注意をしつこくしていた。

 それもあり今まで友人。特に同世代の友人をシェアトが持つということがなかったのだ。


 本当ならシェアトの年齢だと学校などで交流が増える可能性があったが。その可能性も大炎上によりなくなり。

 さらにそれまでも周りの国々との接点は少しばかりシェアト自身もあったが。まだシェアトが表に出る時ではなかったこともあり。そのような繋がりでもシェアトの近くに踏み込める友人はいなかった。

 そんなこんなで、気が付けばシェアトはいつも1人の空間。もちろん近くにはコールたちも居たが。それは大人。今現在まで同世代の友達を作るということはなかなかできない事だった。

 

 そんなシェアトに転機が訪れようとしていた。

 悠宇たちが現れたのだ。

 今自分が表に出るのがどういう意味になるのかはもちろん知っていた。けれど――最後かもしれないチャンスにシェアトは行動をしようとしていた。


(私もあの輪に入りたい――)


 シェアトは心の中でそんなことを思い――このチャンスを逃さないように。そして――悠宇たちを今後盛大に巻き込んでいくのだった。この時のシェアトはそんなことに悠宇たちを巻き込むとはもちろん微塵も思っていなかったが――。

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