第82話 修復

「本当ですね。確かもっと壊れていましたよね」


 悠宇の家の室内に広がる鉄道模型のレイアウトを見つつちかがつぶやいた。

 今はちょうどコントローラーが並んでいるところに悠宇たち4人がちょっとぎゅうぎゅうの状態で立っている。

 4人が見ている先には、悠宇たちをシェアトたちがクラス場所へとぶっ飛ばしてくれる漆黒の蒸気機関車が止まっているのだが――その先。悠宇たちがシェアトたちの住む世界へと旅立っときは、本当に何が起こったのか。というレベルで壊れていたのだが。今は蒸気機関車が止まっているところから少しと言えば少しなのだが。線路。道路。木々が修復されている。もちろんその先は爆発でもしたのかというくらいまだ壊れているが……。


「つまり――えっと、悠宇が向こうの世界で線路作るとこの模型も連動して直るってこと?」

「――じゃないかと俺はふと思ったんだが――って、これ確証というのか。確実にそんな気がする」

「えっと、じゃあこの模型はシェアトの住んでいるところと何らかの連動があるってことですかね?」

「うーん。もしかすると、この蒸気機関車が止まっているところが――実りの町と言っていたあの場所で――でもその先の線路は特に町には繋がってないんだよな」

「ジーっと見ていても直っているって感じはないね」

「いやいや、海楓それはそれで怖いだろ。勝手に模型が直っていくって」

「でも実際直ってない?」

「それは――俺たちがこの場。世界を離れたから?」

「シェアトは、この模型見て何か気が付くことある?」

「えっ。私?」


 悠宇たちは何を話しているのだろうか?といった表情でしばらく悠宇の後ろに居たシェアトにちかが話を振ると。すこし慌てた素振りをシェアトはした後。悠宇の前に出て模型を見つつ考え出した。


「うーん…………ボロボロ?」

「確かにボロボロだけど――それじゃなくて、って、これだけボロボロだと見覚えがあるとかもないか。地形が変わっているところもあるし」


 シェアトの回答は確かに――である。悠宇たちの目の前のところ以外はまだまだボロボロの状況。奥側なんて丸焦げ。大穴が開いているようなところも多数あるので目立つ建物などはきれいさっぱり失われている。


「悠宇。ボロボロになる前の写真とかないの?」


 海楓が悠宇に確認をする。


「いや――爺ちゃん写真はなかったような……っか、爺ちゃんが写真撮ってるイメージがない……」

 

 悠宇は昔の記憶を思いだしたが。いつも模型をいじっている姿しかなかった。


「私も写真は撮ったことないかも」

「私もないですね。というか。撮らなくてもいつでもある光景だったというか」

「確かにね」

「なんとなくこれはシェアトたちの世界――の気もしたけど」

「いやいや悠宇。さすがに私たちの町ここまでボロボロじゃないわよ。多分……」

「まあ実りの町とか普通に町だったしな」

「シェアトの居たところもちゃんと作られてたよね」

「――つまりは――たまたま?」


 悠宇たちはしばらく模型が何らかのシェアトたちのところと関りがある気がして考えたが。あまりのボロボロでシェアトも見覚えのあるものは1つもなかったため少ししてから。


「ってか、外ってどうなってるの?めっちゃ気になるんだけど」


 シェアトがそんなことを言い出したため模型のことを考えるのは一旦終了となった。

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