エクレクティック レイアウト レールウェイ ～爺ちゃんから相続した遺産【鉄道模型】によって、俺は何故か別世界で鉄路復興をすることになった話～

第157話 昔昔あるところに魔王が２ ◆

　まず第2魔王？

　それは何ぞや？

　と、なるだろうが。この時代は魔王が2人と存在するという少し特殊な状況となっていた。

　元はここ近年は代々受け継がれていた魔王の家系があり。そちらはそちらでちゃんと続いていた。それが第1魔王。

　six国にあるユーゲントキーファーという町（第1魔王城がある場所）を中心に勢力を持っていた。

　この第1魔王はここ最近続いていたエーテル域の鎖国のような状況を失くし。過去のようにマナ域。普通域と交流を再開させようと動いている魔王だった。

　魔族も人もみんな同じ生き物だ。手を取り合って――という考えの魔王だった。

　しかしみんながみんなそんな第1魔王の考えを支持するわけではなった。

　始めこそは皆が第1魔王に従っていたが。時が経つにつれ第1魔王に反対する男が現れた。　

　その男は強さこそすべて。自身の強さを見せ。あっという間に勢力を拡大。気が付けば現在の第1魔王に反発する者をすべて取り込み。ユーゲントキーファーから離れたマナ域との境界。現在のヒメルヴアールハイト近くに新しい魔王城。第2魔王城を勝手に作ったのだった。

　その男の名はルイ・ノグモ。

　彼の詳しい経歴などはわかっていない。わかっているのは少し前までは第1魔王の軍に属していたことくらい。噂では経歴がないのは以前は記録に残すようなものではなかった人物。平民から上がって来た者ではないか。という噂もあった。

　第1魔王と第2魔王が居る時代。

　正確には第2魔王は認められていないが。この時代では第2魔王の名が残るほど勢力を拡大していた。

　もちろん国のトップが2人も居れば国内は混乱した。

　第1魔王に付く者も居れば第2魔王に付く者もいた。

　そしてそれは次第に国内でも小さな内乱を各所で起こしだした。

　国内が混乱すればするほど、第2魔王の勢力は強くなり。遂に第1魔王が第2魔王の好き勝手を止めるために、第2魔王と激突した。

　これはエーテル域以外ではほとんど記録としては残っていない。エーテル域での内乱。

　戦いの場所になったのはユーゲントキーファーとヒメルヴアールハイトの中間地点にある山間部ではないかと言われている。

　こちらも詳細が不明で、混乱の中記録が消えた物とされている。

　しかし町では大きな戦いがあった記録がないため。人里離れたところ。中間地点の山間部当たりではないかというのが有力となっているのだ。

　またその第1魔王と第2魔王の戦いは長くは続かなかったと考えられている。

　結果は混乱に乗じて第2魔王が自ら第1魔王の首を跳ねたとされている。

　もともと混乱していた国内。

　気が付けば第1魔王は戦いが始まる前にはすでに包囲されているような状態だったのだ。

　そしてこの第2魔王。脳筋と周りは見ていたが。意外と頭も使えていたのだ。

　周りには自分の背中を見せていたが。その裏でもちゃんと準備をして――いざ。だった。

　そんなこんなでこの時の戦いは第2魔王が圧勝。

　この時を持ってエーテル域は新しい魔王。第2魔王がそのまま魔王となり。今まで通りのエーテル域が一番。魔族は最強。他との交流はしない。という流れが続くことに――なると。それはそれでしばらくの間はこのエーテル域全域は落ち着いたかもしれないが。

　この時。そのままは落ち着かなかったのだ。

　第2魔王は魔王となった数日後――暗殺されたのだった。