第158話 昔昔あるところに魔王が3 ◆
ルイ・ノグモの時代はあまりにも短かった。
勝手に自分が始めた時代を入れてもあまりにも短く終わった。
第2魔王だったルイ・ノグモに何があったのかはわかっていない。
わかっているのは、魔王になり。各地の見回りに出かけた初日の夜。何者かに暗殺された。
以前も言ったが。このルイ・ノグモ。脳筋の雰囲気だが。実は頭も使えるので、自分が魔王に正式になった後も必ず反乱する前魔王。第1魔王の残党が何かしてくるだろう。または新たに反乱する者が生まれるかもしれない。と、しっかり自身の周りを固めており。警備にも抜かりはなかった。
現に暗殺された夜も、警備に抜かりはなく。宿ですら。町にあるものではなく。自身が管理する建物をわざわざ利用していた。
実は怖がりなのでは?と、思うかもしれないが。これは今まで。このルイ・ノグモが第2魔王になる前から行っていたことであり。この警備があったがゆえ。ルイ・ノグモは休息もちゃんと毎晩とれており。日々万全の態勢を整えていたのだった。
また完璧な警備をしていたのは常に行動する際。家族を同行させていたからということもある。何故同行させていたかというと。ルイ・ノグモは自身の後継者を育成するためだった。
ルイ・ノグモには妻と子が居た。
自身は戦う術があるが。妻と子は同じようにはいかない。
もちろんルイ・ノグモの妻となった者もそれなりの強さはあってもルイ・ノグモと比べるとかなり劣る。
さらにその2人の子に関しては、自身を守る術はほとんどなかった。そしてこの子こそ。ルイ・ノグモの後継者であるため。厳重に守る必要があったのだ。
魔族の子ということで、全く戦う術がないわけではなかったが。まだこの時2人の子は6歳。母親に甘えているまだまだ2人とってかわいい子供だった。本来は安全な魔王城で――となるところだが。でもルイ・ノグモは自身の近くが一番安全。そしてまだ幼いわが子だが。着実に後継者として育成していくことを考えていたのだった。
それもあり。ルイ・ノグモは警備を厳重にしていた。
しかし――その警備が破られた。
それも外で警備をしていたもの。室内を巡回していた者にも気が付かれることなく――。
またルイ・ノグモにすら抵抗した後がなかったという。
ルイ・ノグモの亡骸をはじめに見つけたのはルイ・ノグモの子だった。
日課となっていた父親を起こすという行動をいつも通り行ったルイ・ノグモの子。その日も朝一番に起き。父親の元へと向かった。
ルイ・ノグモの子は今までは母親と共に寝ていたが。自身の父親が魔王となったその時に「自分も父のように立派な魔王になる!」という宣言をし。まずはじめに1人で行動することを増やした。それと同時に自分の部屋ももらったため。その日も普段の魔王城とは違うが。父親がちゃんと準備した自分の部屋から父親の部屋へと移動した。
そして普段の流れだと朝の戯れ。親子の時間というべきか。男同士の時間を満喫していると(簡単に言えば――『父!朝だぞ!』と、父の上にダイブする我が子を父がかわいがる時間である)。そこに母親もやって来る。そして3人で朝食。という流れだったのだが――。
その日は違った。
「――あっ、あっ――――うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
その日宿としていた建物内にルイ・ノグモの子の悲鳴が響き渡ったのだった。
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