第191話 異世界デートはサバイバル?3
それから悠宇とちかは近くで枯草や木の枝などを集めた。
そして意外や意外というべきか。ほとんど丘の頂上から動くことなく。2人はそこそこの材料を集めることに成功して、また大きな岩の陰に戻って来たのだった。
「で、どうしますか?」
拾ってきた枝などを置きながら、そして手を払いつつ。ちかが悠宇に聞く。
「とりあえずだな。枝とか集めながら考えていたんだが――もしかして鉄?が使える気がしてな。」
「鉄?ですか?でもどこにあります?」
あたりを見つつ頭の上ではてなマークを作るちか。もちろんこの丘の上に鉄などなく。あると言えば――岩、石。木。草、土くらいである。
そんなちかを見つつ悠宇は『こういうこと』といわんばかりに能力を使った。
「これ――」
悠宇がつぶやくと20センチくらいの短い短い線路が悠宇とちかの前に現れた。
どうやら悠宇の能力もともと線路があるない関係なく。どこでも思い描けば作れるらしい。万能すぎて怖い。あと――この線路の材料となっているのは何だろうか――なのだが。それは触れてはいけないのだろう。そういうものなのだから。
ということで、2人の目の前に短い線路。あと枕木、砂利も線路の分が現れた。
「あー、って、先輩。まさかこのそこそこ太い?鉄を使って――火起こすんですか?短いと言ってもそこそこ重くないですか?」
「いや、線路は使わない」
「えっ?」
「使いたいのは――これとこれ」
「これと――えっ?」
ちかに話しかけつつ。悠宇は線路。レール部分の鉄を簡単に移動させる。
もともとちゃんと能力を使えば枕木の上に線路。そしてまた枕木、砂利――となって、枕木が2つあれば線路が固定されて、そう簡単には動かせないが。今悠宇は枕木を1つしか作り出さなかったため。線路の固定が一か所しかなく。強度は弱く簡単に外れたのだ。
そして悠宇が使いたかったのは線路――ではなく。枕木と。もう1つ。
「これこれ、
悠宇はそう言いながら枕木と線路を固定する釘。今は枕木にしっかり埋まっているが。線路が簡単に動くため。上手に線路を使い、てこの原理で犬釘を悠宇が抜く。
「あー、そういえば線路の固定で使われてますね」
ちかも多分どこかの線路を思い浮かべたのだろう。そんなことをつぶやきつつ納得した表情で悠宇の手元を見ていた。
ちかに説明しつつ悠宇は枕木の両側。2本あった犬釘をそれぞれ線路を使い抜くと線路の方は今のところ不要なため隅へと移動させた。
「線路は最悪というか。非常用の武器だな」
「なかなか物騒って言いますか。強そう?ですがね。重くなければ完璧ですが――」
「まあ短いから重めの短剣?いうのか。接近戦しか使えないかもだが。でも何もないよりいいだろ」
「確かに――って、先輩。ここからは?そこそこ暗くなってきましたよ?」
「ああ、えっと、火が起こるかは――だが。とりあえず今枕木は穴が開いているから――」
悠宇はちかに説明しながら犬釘を抜いた穴2つがある枕木を自分たちの前に置く。
ちなみに枕木。そこそこ重い。何なら。線路の方が軽かった方だったりする。
「開いてますね」
犬釘が抜けた穴が開いた枕木をちかも覗き込みつつ確認する。
「この穴の周りに枯草とかさ燃えやすそうなもの置いて――犬釘2つをこすってみる。ぶつけてみる的な?それで火花が出れば――枯草とか枯れ葉ならもしかして――と」
「それは――どうなんですか?」
悠宇の考えに微妙な顔をするちか。もちろん悠宇もとっさに考えたことなので、ほぼほぼ失敗すると思っていたが。
「あっ、もしかして――」
ふとちかがその時行動を起こした。
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