第190話 異世界デートはサバイバル?2

「なんか私たちすごいことしてますね。これって――野宿?ですよね。超大自然の中で」


 ちかがそんなことを言っているが。悠宇とちか。本当にすごいことしている。

 ほとんど知らない土地で、さらに手ぶらの状態。本当に特に何か持っているわけでもないのに、このまま野宿になりそうな雰囲気なのだ。

 でも2人に焦りの雰囲気は全くない。それはそれでおかしい気もするが――。


「だな。って、疲れたなら寝てもいいぞ?俺起きてるから」


 悠宇もこの通りである。というか。何故そんなに落ち着いているのか――というのはこの2人だからこそだろうが。他の組み合わせ。人ではこんな雰囲気では過ごしていないだろう。


「いや、眠くはないです。ちょっと疲れましたが。ってか、暗くなってきましたが――これ真っ暗?になりますかね?なりますよね?こんなところで明かり――になるものはですから」


 ちなみに今のところあたりはまだ明るいがどんどん暗くはなってきている。あと少しすれば下手すりゃ真っ暗闇に襲われるだろう。


「だな。このままいくとここ真っ暗か?真っ暗だよな?なんもないし」


 今悠宇たちの周りには明かりというものは2人も話しているが1つもない。というか。こんなところに電気が付いています。とかいうことがあったらそれはそれで怖い。なのでこのままいけば悠宇の言う通り真っ暗になる。


「星は――ありそうですが。でもそれだけじゃ――ですよね」

「こういうときは――火とかつけれるかな?小説?マンガみたいに――木とかすりあわす?みたいなことでつくとは――だが。でもここで休むにしても明かりは欲しいな。真っ暗じゃ何も周り見えないだろうし」

「あー、あれですね。必死に手を動かして――ですよね?本当につくのか――ですが。とにかくすごく大変そうですよね。ってこういう時に火とか発生させられたら――なんですが。この世界でも私たちじゃできませんからね」


 ちなみにここに居る2人のこの世界での能力は、線路を敷く。物の現金化。である。

 ――普通に考えればサバイバル向きではない。暗闇で線路敷いてどうする?暗闇で何かをお金に換えてどうする?であるが、そうでもなかった。


「一応近くに――草と木はあるな」


 悠宇が座りながら近くを見て言う。確かに岩の周りも草や背の低めの木がある。そして岩、石の隙間。間には枯草。枯れ葉が固まっているところもある。風が吹いて、葉っぱなどが飛んできて固まったのだろう。


「物は試しか」

「えっ?悠宇先輩。本当にやるんですか?疲れません?」


 絶対それ無駄に疲れますよ?といった表情でちかが悠宇に言う。しかし悠宇はやる気だった。


「まあなんか出る雰囲気は今のところないし――って、もしもの時に火ってなんか役立つかもだし。あとはちょっとやってみたい」

「――悠宇先輩が子供に――って、こういう時は楽しんだ方がいいんですかね?」

「おい。なんか馬鹿に――って、とりあえず、このままだと真っ暗確定なんだしちょっと枝とかないか?」


 少しちかが呆れ顔――だったが。悠宇が立ち上がると『仕方ないなー付き合いますよ』的な雰囲気でちかも腰を上げたのだった。

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