第192話 異世界デートはサバイバル?4

 何か思いついたのかちかは呟きながら。先ほど悠宇が横にどけた線路を手にする。さすがに短いと言えちかの力では重そう――と、悠宇が思った時だった。


「――えっと、現金化」


 ちかがつぶやくと線路が一本消えた。

 ちかの能力が使われたのだ。

 そして、ちかの手にはボロ布で出来ているだろう。巾着袋が現れた。ちなみに以前の機関車を動かしていた石。魔石になるが。それよりかははるかに巾着袋が小さい。しぼんでいるのがわかるが。

 ちかはお金が目当てではなかった。


「あっ、出来ました」


 どうやら、ちかはダメもとでやってみたのか。線路の現金化に成功すると、嬉しそうに悠宇の前に巾着袋を見せた。


「えっと――ちかよ。お金で解決しようとしてもお店はないぞ?」


 いきなりちかがお金で解決を図った?と、お金の入った巾着袋をこちらへと渡してくるので、そんなことを思った悠宇が冷静にちかへと返事をしたが。手と首を横に振りつつちかが話を続けた。


「いやいや、違います。先輩。この袋。めっちゃ燃えそうじゃないですか?」


 ちかはそう言いながら数枚入っていたお金を取り出し空になった巾着袋だけを悠宇に渡す。


「あ、あー確かに。これ燃えるかもな」


 ちかから巾着袋を受け取った悠宇はここで、ちかの考えが分かった。

 そして悠宇は袋をチェックする。袋はあまりしっかりした作りではないので、繊維?というのか。少しほぐす?ようなことをすればさらに燃えやすくなるかもしれないなどと宇は思い。少し袋をほじくではないが。わざと穴を開けたりしてみた。

 さらにその作業をしつつ。悠宇はちかの手にしているお金にも目を向けた。


「これ――犬釘でそのお金?と擦ったり。ぶつけたりしたら火付かないかな?いろいろあった方か可能性広がりそうだし」

「どうですかね?でもダメもとですし。いろいろやってみます?ってか、こういう時ってなんでもしてみるべきですよね」

「だな。とりあえず枕木の方にも草とか準備して――あっ、ちかは枝とか適当な大きさにできるか?」

「それくらいなら余裕です」


 悠宇がちかに声をかけるとちかは近くにあった枝などを適当な大きさに折っていく。


「怪我だけは気を付けて、治療はここじゃできないからな」

「了解です。先輩は火。お願いします。先輩も怪我しないでくださいよ」

「ああ。まあできる限り?だがな。やってみるか」


 実はこの時の2人は、いろいろ試す気満々ということで意見が一致していたが。心の中では2人とも『さすがに素人がこんなことでは――まあ無理か』などとそれぞれが思いつつだったのだが。

 それからしばらくすると……。


 パチパチ……。


 激しくはなく。まだ心もとない感じもあるが。でも今はそれで十分といった強さの火。悠宇とちかの前に枕木を中心とした焚火が出来ていた。

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