第193話 焚火

 まさかまさかの火をつけることに成功し。焚火の準備が出来てしまった悠宇とちか。

 2人の前ではパチパチとちゃんと火がついている。

 この直前。火がつくまでには『煙!』『付きそう』『これどうするるんだ?息拭きかけるのか?』『あっ確かそんな事していた気がします』『消えるなよ!?』みたいな2人のドタバタがあったのだが――今は落ち着いている。というか。火をつけるための方が歩いてくるより少し疲れた2人だったりもするので、少し前のことは後回しとしておこう。


「――マジか。頑張ったぞ」

「先輩。すごいです」


 なお、2人とも火がついたことで疲れなどすっ飛んでいるのだがね。

 2人のテンションは今高い。


「いや、奇跡的な確率だったかもしれんが。やってみるもんだな。もしかしてこの土地?なんか空気が違うとかついたのか?」

「まあ、そういうのはわかりませんが。でも火があるだけで。全然雰囲気違いますね。これ消えないようにしないとですね」

「だな。とりあえず安定するまでは注意だな。もう1回同じことができるかはわからないからな」


 火を起こすことをやってのけた2人は今もかなり驚いている。

 そりゃ、できるか微妙。むしろできない方で思っていたことが意外や意外。出来てしまえばそれは驚くか。

 ちなみに今の生活では当たり前のように火はつけることができる。コンロならつまみを回す。その他でもライターやマッチと、この時に2人はなんやかんやあってもいろいろ考えた人すごい――と、ちょっとだけ。思うのだった。

 何故ちょっとだけかって?そんなの火を自分でつけた方が大事で、今は目の前の火に集中しているからだ。火がついて、いろいろ話していた悠宇とちか、今はその火をジーっと見て消えないように注意している。声すら出さず――。

 ということで、火を見て固まってる。集中してる2人がしている為。火を起こしだしてからの事をやはり説明しておこう。後回しにならずだ。

 

 はじめは――まあ付く素振りはなかった。

 ちかが枕木の穴。犬釘があった片方のところに枯草や小枝を準備している間。悠宇は犬釘を持ち、お金とぶつけたり。犬釘も2つあったのでそれをぶつけたり。擦ったりしたが。時たま火花?みたいなのが小さく出るだけだった。

 でも、そのあとも悠宇は諦めず。巾着袋の上で擦る。草木を周りにおいて――とかとかいろいろやった結果。

 巾着袋の中にお金と、枯草を入れて、半ば無理矢理。巾着袋が破れてもいいや。というかもう自分で破っていたが。さらに破る。ボロボロにするレベルで擦る。叩くなどなどいろいろしていると――。


「えっ。あっ、先輩先輩煙!」


 先に気が付いたのは悠宇の姿をずっと見ていたちかだった。


「――ほえっ?おぉって、どうするんだっけ?この後」

「えっと――」

「あっ、息吹きかけるんだっけか。って、ここでまたやり直しとか嫌だぞ」


 悠宇はというと擦ったりする方に全神経集中していた。何故なら、何も言ってこないが。悠宇の頭の中には真っ暗闇になるとちかが不安になるかもしれない。だから頑張らねば。という思いがあったのだ。

 そのためちょっと集中により。気が付くのが遅れて――まあ煙?の状態でまず2人で騒ぎつつ。そのあとは、そっと息を吹きかけたりしていると、奇跡的に燃えだした巾着袋。そこでもちょっと2人は騒ぎ――からの火が消えないように、再度そっと息を吹きかけたり。ちかは頑張る悠宇の正面に行き。風よけ。壁となって悠宇のサポートをしていた。そして2人でいろいろ頑張った結果。

 枕木の片方でしっかりと火が付いていた。これが今である。

 何事も諦めないは大切。諦めない気持ち強かった。


 なおこの時悠宇とちかはかなりガチャガチャ。騒いだりしていたたからか。少し離れたところ。で、少しの間だったが。タタンタタン。タタンタタンと、テンポの良い音があったのだが、それには全く気が付かなった。

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