第194話 快調なのだが―― ◆

 悠宇とちかが。何やらサバイバルデート?をしている時の事。


 ガタンガタン――ガタンガタン――。ガタンガタン――ガタンガタン……。

 

 悠宇とちかの捜索のため。実りの町を出発した海楓とベクルックス。ベクの2人は暗くなってきた中を快調に機関車を走らせていた。


「海楓殿の運転良い乗り心地ですな。眠くなりますぞ」

「操作は簡単ですから。ベクさんもできますよ」

「いやいや、またなんかやらかしたら次こそわしの首がガクによって跳ね飛ばされるわ」

「でも、本当にこのレバー操作するだけですよ?」

「わしは前方の安全確認をするだけで十分じゃ。にしても、明るい電気ですな」

「すごいですよね。数メートル先。数十メートル?はそこそこ見えてますもんね」


 運転室の中では、海楓が基本悠宇が座っていた運転席に座り。ベクが反対側。ちかが座っていた場所に座り。意外と和やか?な雰囲気で過ごしていた。

 もともと操縦が簡単ということもあり。海楓自身もそこまで身構えていないのと、ベクはベクで、はじめこそ海楓と2人というので、戸惑いのようなことがあったが。海楓と話しているうちに慣れて来て、今では2人が雑談をしつつ。あたりをそれぞれが見ていた。

 ちなみにこの機関車。暗い中でも前方はちゃんと明るいライトにより全く問題なく走れている。

 なお、悠宇とちかを探しているため。実りの町を出てしばらくは普通のスピードで走っていたが。少し走ってからは海楓はスピードを緩めて走らせていた。

 ちなみに海楓もベクも悠宇とちかは線路沿いに居るだろうと思って機関車を走らせていた。

 そのため話ながらも2人はそれぞれが線路の近くも確認はしていたが。今のところ悠宇とちかの姿はない。

 本来ならもっとゆっくり走らせた方がいいのだろうが。でも線路沿い。基本隠れれるような茂み。林などはなく見晴らしのいいところを走っているので、少し緩めただけで海楓は機関車を走らせていた。


「なかなか悠宇殿たちいませんな」


 あたりを見回しながらベクがつぶやく。

 

「もしかしたら2人とも置いてかれた場所に留まっているのかもですね。2人なら町の方に歩いてきてる気がしたんだけど――って、えっと、感覚的にですが。多分もうすぐガクさんたちと合流した場所になるかと思います」


 海楓の方も周りを気にしつつ答えた。

 が、実は海楓。先ほど悠宇たちを置いてきた時に走って来た感覚で機関車を走らせていただけなので、正確場所というのはわかっていない。まあ海楓の感覚というのはほとんど完璧で、本当に今走った距離的には先ほど悠宇たちとガクたちが合流した付近と同じくらい走ろうとしているところだったりするが。

 でも今はもう1つ先ほどと違うことがあった。それは明るさだ。

 先ほどはまだ陽があったが。今はすっかり暗くなったところ。もともと似たような場所がずっと続くところを走っているため、明るくても正確な場所というのは海楓でもわからない。それが暗くなればさらにあたりが見にくくなるため――本当に海楓の感覚だけとなっていた。

 またベクもほとんど町の外のことは知らなかったので、今どのあたりかというのはおおよそでしかわからないのだった。

 

 そして、今機関車を走らせている海楓とあることを失念していた。というか。それに気が付くというのもなかなか難しいことなのだが――。

 悠宇の能力はちゃんと稼働していた。ということに海楓は気が付かず機関車を走らせていた。

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