第175話 実はこの頃にも――2◆
「なんもねぇーじゃんか。せっかくこんな薄気味悪いところまで来てるのによ」
黒いマントをかぶった者がイライラしながらあたりの草木。または瓦礫を大剣で払い避けながら道なき道を進んでいた。
ここはヒメルヴアールハイト。昔魔王城があったとされる跡地近く。一応建物の残骸はあるが。城があったとはなかなか思えない場所。
黒いマントをかぶった者はとある噂話を聞いてこの地に少しの仲間と共にやって来ていた。
しかし目的のものが見つからず少しイライラしており。さすがにそろそろ切り上げようとしているところだった。
黒いマントをかぶった者は、手当たり次第にと言うべきか。適当に大剣を振り回し。あたりを攻撃した。
その際の大剣の使いは流れるようなもの。無駄な動きがなく。黒いマントをかぶった者は表情こそイライラが現れていたが。それ以外は無駄な力を使わずに歩きつつあたりを壊していっていた。
ちなみに石、岩と大剣が当たったも何故か石、岩の方だけが砕けていっており。大剣は全く傷1つ付いていなかった。
ブン――ブン――ガツン。
「ん?」
すると、切り上げようと今までより少し大きめのふりをしたところ、大剣が弾かれる音があたりに響いた。
その音はそれなりの音。また木でも金属でもない独特の音だったため、黒いマントをかぶった者の仲間も気が付き様子を見に来ていた。
「――ここは――なんだ?単なる地面じゃないのか?」
ガンガン。
黒いマントをかぶった者は大剣が弾かれたところに向かった再度大剣をふるう。
すると先ほどと同じように大剣は弾かれた。
どうやら攻撃を受けても壊れない地面。または今のところ見えないが。建物?建造物があることに黒いマントをかぶった者は気が付いた。
「おい、お前らもこのあたり攻撃して見ろ」
黒いマントをかぶった者は近くに来た仲間に命令する。
命令を受けた仲間は何もなさそうな地面を同じように攻撃するが――。
ガガン――ドドン――ダン。
びくともしない。単なる土のはずなのに穴すら開かない。
他の地面なら簡単に穴が開くのに――。
「――もしかしてここが。昔このあたりに不思議な光が舞い降りて――その時の権力者が力を隠したという言い伝えがある場所――?」
すると、黒いマントをかぶった者の仲間の一人がふとつぶやいた。するとその話を聞いた他の者も思いだしたかのようにいろいろ話しだした。
「まさか突如として消えた魔王が居るのではないかといわれていたものか」
「なんだっけ?その先に魔王の血を継ぐものが隠されている?だったか?」
「でもそんなものが今まで残っているというのもだけどな――でも、頑丈に守られていたら――か。現にこんなに厳重なんだし」
「――今の戦力ではこれは無理か。おい。一度帰り戦力を整えるぞ」
仲間がつぶやく中。黒いマントをかぶった者は少し考えた後。この場所はそう簡単に誰かに見つかることもない。そして見つかったとしてもこれを突破できる者はそうはいないと考え。一度撤退し、準備をしに行くことにした。
ちなみに、この時この黒いマントをかぶった者たちが見つけた場所こそ。
とある女の子が眠る場所――。
そしてその女の子が外の空気を改めて吸うのは――そこから長い長い年月が経過したある日のことだった。
厳重な守りを破壊した者。その者の名は――この時にやって来た者ではなく。のちに突然ポンとやって来たあの者であるが――それはまだ誰も知らない事。
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