第134話 隠す。とにかく隠す
先輩と別れてお風呂に入った後すぐのこと。
洗面所にいる時に私のスマホが鳴った。相手は――先輩からの電話だった。通常ならテンションハイ。と、なり。そのまましばらく先輩を拘束――電話でお話するということがちょくちょくとあるのだが――今日は違った。
『ちか、無理は承知でさ。今だけシェアトをとりあえず預かって――というか。このままだとちかの家の前で獅子が騒ぐことに――いや騒いでいるか』
私ピンチ!と、なってしまった。
だらだら無駄話を夜にする――と、かいう未来は訪れなかった。
『それめっちゃ迷惑――と言いますか。えっともちろん先輩のお願いだから――なんですが。うーん。片付けがさすがに――』
電話口から聞こえて来たのは、何故か途中で拾った?シェアトと獅子先輩――って、まず言う。私の部屋に先輩は入れれない。これほんと。今この状況を先輩に見られるのは――そりゃ絶対ダメではないが……恥ずかしい――じゃなくてじゃなくてやっぱり誰にも見せれないという状況の私の部屋。いや、家。緊急事態というのはわかるが。でもこれを先輩に知られるわけには――という状況。
何とか電話をしつつも解決策はないかと考えるが……なかなかいい案が出てこなかった。
本当は『先輩の家に行けばいいじゃないですか』ということで片付きそうなことだが。先輩の家が狭い。というか模型に占領されている。というのもあるが。現状は獅子先輩もいるというのが厄介で獅子先輩はもちろん向こうの世界のことは知らないし。そもそも今の先輩の家の中を誰か他の人が知ることはなかなかのリスクというか。あまり知られない方がいい状況の為。先輩の家に行ってくださいとは言えないし。
ならここは海楓先輩のところ――だったが、それはシェアトが拒否。断固拒否しているらしく。これもダメ。ちゃんとは聞いていないけど、多分――料理で何かあったと思うから。というかない方が無理な話だと思うけど。どんな料理を海楓先輩は作ったのか。
って、それは置いておいてホント、なんでこんなことに――と、思いつつも私はとりあえず洗面所などにあった先輩グッズ――というのは秘密。とにかく散らかっていたものを片付けつつ先輩と話していた。
「大丈夫大丈夫。俺の家から見たらだから」
「――そりゃそうですが――っていやほんと誰かを家に入れれるような状況ではなくてですね」
「――そうか……」
すると、先輩の困った。という感じの声に私――反応ではないが。
こういう先輩の困っている時に力になりたくなっちゃう私。いや、ダメでしょ。今はダメでしょ。と、別の私が脳内で言ってくるような気がしたけど――はいさようなら。
私は再度考えた。
シェアトを預かるとなれば――やはり一時的にも先輩が入ってくるかもしれない。というか。シェアトと2人っきりはそれはそれで危なそうなので、見張りとして先輩にもいてもらった方が……でもそれだともし私の持ち物がバレる――。
先輩を助けたい。というと大げさ?なのかもしれないが。
明らかに困っている状態の先輩をこのままというのは――だったので。
「あー、もう、ちょっと、ちょっとだけ待っていてください」
私、そんなことを言ってしまった。
それからはもうやけ――ではないが。とにかく室内をさささーーと片付け。
特に先輩――私の癒しグッズは自分の部屋の奥。隠す。隠す。
そしてなるべくリビングで過ごしてもらおうと。そこだけとりあえず綺麗にして。私の部屋はしっかりと封印し――。
隠すものは自分の部屋に隠しかなりドキドキしつつも。悠宇とシェアトを室内へと私は入れることにしたのだった――。
なお、獅子先輩は悠宇先輩が追い返してくれたらしい。これはホント助かった。獅子先輩にばれたら――なんかネタにされるというか弱みというか――とにかく良からぬことが起きそうだったから。
ということで、先輩。初めて私の家へと入場することに――。
なお、シェアトが大人しく言うことを守るとは――限らないのだけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます