第135話 怪しい人物にご注意を――

「なんでだ!おとんだけハーレ……」

「帰れ」


 おとんの新しいハーレム現場を目撃。そしてその場へと突撃した俺。そこでは新たな美少女ちゃんを発見。そして何やらおとんは異世界の美少女ちゃんと連絡を取っていたのだが――気が付けば俺は見捨てられ。今は立ち去るおとんと新たに現れた外国人の美少女の後ろ姿を――って、暗くて見えなくなった。


「――おとんがひでぇ!」


 暗闇の中で、すでにおとんと新たに現れた外国人の美少女ちゃんの姿がない中。俺のつぶやきに反応する者はもちろんいない。

 あたりを見渡せば――真っ暗。人影はなし。ぽつぽつ街灯などがあるだけ。そりゃ夜なので真っ暗で静か。というのが当たり前と言えば当たり前である。そんな中で俺は1人立っている。

 何が何でも俺と一緒は嫌だったらしいおとん。女神様に加えて異世界の美少女ちゃんまでも自分のもにしようとしている状況で、さらに新しい美少女ちゃんを見つけて手を出そうとしている。

 そしてそして絶対あれはこの後おとんがなんやかんやと言いくるめて、異世界の美少女ちゃんのところに行き外国人の美少女ちゃんも混ぜてハーレム状況を作り。2人に酷いことをする――という現場だと俺は思うが。おとんの親友。相棒の俺獅子は優しくおとんが成長する姿を夢見て。今は立ち去るおとんを見ているのだった……。


「――ふっ。俺がそんなことで諦めると?おとんは甘い。ということで探偵獅子活動を開始――うん?今なんか俺ニュアンス間違った?いや、気のせいだな」


 俺はそれからすぐに行動を再開した。

 おとんと外国人の美少女ちゃんは、異世界の美少女ちゃんのところへと行こうとしているのはすでにバレている。

 ある程度の方向は把握しているため俺は足音。気配を消して2人が歩いて行った方へと足を進める。

 木の影。建物の影から俺はちらっとおとんたちが曲がっていった方向を見る。

 すると暗い中だがまだ2人の影はあった。


 「甘いな。どれ。このままコソコソと――」


 どうやらおとんは外国人の美少女ちゃんと何やら楽しそうに話しているのか。全く俺の存在には気が付いていない様子だ。

 木の影。電柱の影を使い俺は地道に2人の追跡をする。

 この後の予定は異世界の美少女ちゃんの家におとんたちが到着し。玄関あたりまで行ったところで偶然を装い俺も混ぜてもらう。そうすれば男2。女2の状況を作ることができる。 

 つまり――俺も勝者となるの。


「よしよし」

「――何がよしよしなんだ?」

「――うん?」


 電柱の影に隠れつつ適度な距離を保ち。おとんたちの姿を追っているとふいに俺は声をかけられた。

 落ち着いた大人の子――誰だ?と、思い俺が振り返ると懐中電灯の明かり――と、ともに……。


「――ポリス?」

「こんな時間にこんなところで何をしているのかな?」

「……」


 いつの間にか俺の近くにやって来ていたのは制服姿の――ポリス。お巡りさん。自転車から降りて自転車を道路の隅に止めて――さらにこちらに迫って来た。

 もしかして――もしかして――コンビニでのちょっとした騒動でお巡りさんが巡回していたとかある?まさか――。


 などなど俺の頭は超フル回転のち。


「お疲れ様です!」

「あっ、ちょっと!君!待ちなさい!」


 緊急事態。

 ポリスは待ってない。ポロリは待っているが――って、そんなことを言っている場合ではない。


「――おとんのせいだ!!」


 真っ暗の中。俺は全速力で今度は逃走することになるのだった。


「待ちなさい!君!」

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