第188話 気が付いた2 ◆
ちょっとバタバタしている実りの町。
「――あれ?今海楓の何らかの作戦があったかのように思えたのだけど――気のせいだったのね」
そんな中で、シェアトは唯一というべきか。他の人よりちょっとだけ海楓たちと長く一緒に居るので、海楓の事も少しはわかるからか。先ほどの引っかかりに再度気が付くのだったが。すでに海楓はガクたちと一緒に行動中。自分が何かを言っても誰も聞いてくれるような状況ではなかった。
「――海楓って。謎――?って、待って。これ私も逃げるチャンスじゃない?」
シェアト。ちょっとだけ本当の海楓を知るというのか。面白い方向に事が流れるようにしていることに少し。ほんの少しだけ気が付いたのだった。
が――そのあとシェアトはというと、いろいろ考えていて気が付いた。このバタバタを利用すべきだと。しかし、ちょっと考え事をしていて行動が遅れた。
「――シェアト様!ご無事でしたか!では、地下室に行きますよ」
「あっ、コール。って、嫌よ!行かないわよ」
まだ怪我が完治していないが。それでも普通に動けるようになったのだろう。シェアトの再度子守――訂正。護衛を言われたであろうコールサックス。コールがやって来たことにより。海楓に対することは一時思考停止となり。さらには今浮かんだ逃走計画までも即失敗となった。
「シェアト様!私の早とちりは謝罪しますが――今は。今度こそは大人しく――」
「嫌よ!」
コールから離れるべきと直感で行動。逃走を開始するシェアト。しかし、すぐにコールも走り出した。
「シェアト様!どこ行くんですか!」
「って、絶対怪我直ってるでしょ!」
「今後は目を離しません!」
「それはそれで嫌!」
ちなみにコールの表情にはシェアトとの再会のうれしさと――次こそ命令を忠実に――というのだろう。必死さがあった。そのためそれからしばらく2人のおいかけっこは続くのだった。
そんなこんなで、何故か海楓の行動は――変に思う者はいなくなったという。海楓の運。恐るべきである。
それからしばらく後の事。
実りの町の中はまだいろいろあってバタバタしていたが(主に居なくなったと思っていたシェアトが見つかり――そしたらまたいなくなり。そしてそして、連れ去られた的な話があっての。普通にまた戻って来た。と、こちらの世界では1か月。2か月ほどの間で町の人もいろいろありバタバタしていた。というか、みんなシェアトの姿をみたいだけだったりする)。少し落ち着き出して、再度杜若に出発することになった機関車の周りにこの町の重鎮を中心に人が集まって来ていた。
「じゃベク。海楓殿を任せた」
「は、はい」
おろおろガクの言葉に返事をしているのは、前回は町に残っていたべクルックス。どうやらこれからは、ベクと海楓という――まあちょっと不思議な組み合わせで悠宇とちかを探しに行くことになったのだった。
ちなみに何故ベクになったかというと、他のメンバー。というか戻って来たばかりのメンバーはみんな帰りは機関車に乗っていても、それなりに移動。歩いたりしていたので、疲れがあったため。町に残っていたベクになったのだった。一応残されたベクはベクで町の中でいろいろ頑張っていたのだが――それを正確には知らないガクらによって即決定したのだった。
そうそう、シェアトは無事に?コールに捕まり地下室に連行されたらしい。もう町の人もシェアトのことを知っているので他のところでも良さそうだが――あそこがこの町では一番しっかりしている。警備が楽ということで連れていかれたシェアトだった。まあかなり抵抗していたのでコールはまたボロボロになっていたりするが――今回はそんなコールが勝った。
そんな中。唯一のこの世界の人間ではない海楓はというと、すでに緊張なのか。汗だらだら。ちょっとおろおろしているベクの姿を見て、楽しんで?いるのだった。みんあのやり取りを見て笑顔の海楓だったが。ここに悠宇。ちか、またはシェアトが居ればすぐに気が付いただろう。
『これ、隙ればなんか起こしそうな顔』
と、まあ今ここに居るお爺ちゃんたちには海楓の笑顔は女神様――にしか見えてないのだった。
「じゃあベクさん。よろしくお願いします」
「あ、はい。こちらこそ。大してできることはないかもしれませんが――よろしくお願いします」
もちろん笑顔にすでに負けている――ではないが。海楓と共に行動することになったベクはというと。海楓に話かけられると、しっかり付いていきます。ミスはしません。といった緊張した。少し硬くなっているのだった。
ブォォォォォ――。
とりあえずそんな中で再度海楓がハンドルを握る形で、オレンジ色の空になりつつある実りの町を機関車は再度出発するのだった。
なお、この後さすがに海楓でも予想できなかったことが起きるのだが――まだそれは先の事。
「さあ、ちゃちゃっと悠宇とちかちゃん見つけないと」
今の海楓はとにかく今を楽しんでいるのだった。
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