第183話 怪しさ100% ◆

「クラズさん。明らかに怪しいですけど。どうします?」


 ここはドーナツ国の町の外れ。 

 ドーナツ国の周りは四方八方草原。噂では南の方に進めば海があるとか言われているが――現状移動手段がない。あと、町の外は安全確認がでいないため。周辺の状況は今のところ確認できていない。

 と、そんな中で、町の周りで一応何があってもすぐに警備ができるようにしていた町の人が巡回中に線路を発見し。慌ててこの町のトップ。クラズを呼んできたところだった。


「線路なんて久しぶりに見たな。ってか。なんで線路を作っているのに誰も気が付かなかった?」

「その――ホントいきなり。多分一晩で――」

「いやいや、こんなしっかりしているものを。ってか、鉄使っているみたいだし――レール1本もそこそこの長さ。こんなの何十人で運ぶとかしないとだろ。この地域に魔法バンバン使えるやつとかいないだろ」

「それもかなり精密に作られています」

「ますます誰にも気が付かれず敷くとかできるのか?」

「通常なら――無理かと。私たちが定期的に巡回してますし――」

「……怪しすぎるな。ここ最近静かだったあいつらがなんか――って、もともと線路ぶっ壊したのはアイツら大炎上起こしやがった奴だよな?」

「そうです。線路という線路。あと小さな町も跡形もなく――」

「……うーん。明らかに怪しいが――壊せそうか?」

「かなり時間が――」

「だよな」


 目の前に一晩で現れた線路を見つつ話し込むクラズと男性たち。

 ちなみにこの線路敷いたのは悠宇である。

 今はまだ名前もこの地域の人々は知らない別世界の人間がなんか適当に念じたら?延びていきました。というやつだ。

 まあ悠宇本人も線路を作っていることを忘れるようなレベルだったが――でも線路はちゃんとドーナツ国まで繋がっていた。復旧していた。

 

 と、言っても今このドーナツ国に居る人が悠宇の事などわかるわけもなく。さらには周りの町の状況も全く入って来ず。わからないような状況ガクたちが行動を始めているという情報ももちろんこの場所にはまだ届いていなかった。

 というかそもそもこのドーナツ国。実はガクたちが居た場所から見るとかかなり豊。

 ガクたちは高齢者ばかりになった――と、言っていたが。実は、実りの町の若い人もどことなく噂。実はその時の噂は事実ではなく。大炎上のあとで、生活が苦しい中。誰かがなんとなく。勝手に言い始めたことで、『このまちより良いところがある』的な話。夢の話。妄想の話みたいなのが大きくなっていき――もっといい生活――子供のために。などとそれぞれがいろいろなことを思い。町を出て――もちろん全員が全員たどり着けたわけではないが。たまたまこの町にたどり着いた人が――というか。適当な噂。勝手な噂だったが。事実でした。ということになっていたのだ。

 ちなみに、何故実りの町とこのドーナツ国に復興の差が出来たかというと――実りの町には王が居たためその警備――というのもあるが。その王。ガクたちが秘密裏に連れて来ていた王女の存在を必死に隠すことに力を注いでいたため。復興が遅れたのだったりする。

 ガクたちがこの町を見て驚くのは――まあもうすぐそこだったりするが……でもまだはこちらに向かっては来ていない。


 とにかく、今のところ、突然現れた線路に対してどうするか。この町のトップ。クラズは考えることになり。ちょびっとだけ体重が落ちたとか。落ちなかったとか――。

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