第185話 満員機関車 ◆

 これは悠宇とちかが草原に放置されて少しの機関車の車内。


「いいかシェアト、町に戻ったらシェアトは残るんじゃ」

「なんでよ!私も行くわ。ってか、行かないと功績ができないじゃない!」

「着いたらコールと一緒にまた地下室待機じゃ」

「拒否」

「認めん。あと、ってなんじゃ?」

「功績は功績でしょ」

「シェアトはが欲しかったのか?」

「もちろんよ!」

「――そうか、なら考えておこう」

「ホント!?」

「その代わり今はまだ大人しくしておいてくれ」

「それは拒否!」

「なんでじゃ!」


 シェアトとガクは再度言い合いをしていた。ちょっと――話にズレがある気がするが――大丈夫だろうか?

 とにもかくも少しヒートアップ?して話してるため。悠宇とちかのことにまだ気が付いていない。


「はははっ。にぎやかなこった、にしても――ホント乗り心地いいな。俺たちの町でも機関車作れねーかな。駅作ったんだから今度は俺たちも機関車か。そうだよな。今の雰囲気なら昔みたいに鉄路が復活も現実味が出てきているしな。っか、できるか?」


 言い合いをしているシェアトとガクの横では、周りの景色を見つつ風を受けているアクがいた。機関車の乗り降りするところに肘を当てつつ。なかなか絵になるような運転手――のような乗り方をしていた。ちなみに運転はしていないが。


「おお、ホント揺れんな」

「こんなところに乗っておっても振り落とされる雰囲気すらないの」

「こりゃ快適じゃわい」

「にしても綺麗な機関車だのーわしの顔が見えるぞ」

「誰もお前のしわくちゃな顔見たくないよ」

「なんじゃと!?」


 あと、機関車の前後ろ左右というべきか。とにかく機関車に捕まっている男性陣はなかなかの乗り方をしているのだが――まあ乗り心地?は、高評価の様子なのでよしとしておこう。

 そして――本来悠宇とちかが居ないことに気が付かなければいけないあのお方――海楓はというと。


(悠宇とちかちゃん乗ってないけど――意外と2人っきりにしたら何か起こっちゃうかもだし。もしかしたら一線超える?まあそれはあの2人じゃ無理かなー。でも、こういう時って、仲間とはぐれる。ってあるよね。うんうん。トラブル発生っていうイベント。だから多分大丈夫そうだし。今ここで私が口を挟むのもだから――いいかー)


 ちゃんと2人が居ないことに早々に気が付いていた。というか。乗っていないことを始めから気が付いていたが。そんな事を考えていたため。誰にも何も言わず。自分も気が付いていないふりをして。のんびり先ほどまで悠宇が座っていた場所に座り。前方を見つつハンドルを握っているのだった。

 海楓。大変今の状況を楽しんでいた。


 実は少し前。機関車が走り出した際は一部の男性陣が勝手に触っていた。そして、勝手に走らせたのは男性陣の一部なのだが――まあそこだけは『自分が運転した方がいいかな?』と、代わってもらった海楓だった。本来はそのやり取りでガクやアク。シェアトが気が付いても良かったのだが――言い合っているわ。外見ているわで気が付かない。という何ともな状況だった。


 ちなみに海楓に声をかけられれば――ほぼすべての男性陣はすんなり譲るのだった。そしてもともと勝手に機関車を動かした男性らはというと――まあ大人しく外に捕まっている彼らの中に居る。もうすっかり他の男性陣と混ざっていた。

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