第186話 異世界デートは大自然
大草原の中を歩く2人の影。
一向にお迎えの気配を感じることがなかった悠宇とちかは線路の隣を歩き出していた。
普通なら大草原の中。見晴らしは良いと言ってもどこに向かっているかわからなくなるのが普通。でも今は線路という道しるべがあるため。2人は線路の隣を歩いていた。
「っか、実りの町まで2、3日言ってたか」
2人が向かっているのは実りの町の方向。本当は海楓は放置して杜若に戻ろうかという話もあったのだが。現状2人は食料がないため、距離がそこそこ離れている杜若より実りの町にまだ向かった方がいいかもということで実りの町へと歩いていた。
「言ってましたね。でもおじいちゃんたちのスピードで――ですから」
「まあ俺たちならギリ1日くらいか。それなら空腹になっても我慢できるな。っか、なんか日が傾いてきているのが気になるが――」
ちなみにこちらの正確な時刻はわからないが。今悠宇たちは夕日に近いものを見ていた。つまり――まあそんな時間なのだろう。と、2人は認識していた。
「そういえばそうですね。これ――野宿?か歩き続けるになるんですかね?」
「ちか。辛いか?足とか大丈夫か?」
「あっ、いえ、そういうのは特にですが。今のところ生き物とか全く見てませんが。その――夜とか大丈夫なのかなーと。あと暗くなると――ちょっと心配かもです。私たち明かり持ってませんし」
「あー、生き物か。全くその情報ないからな。っか、そうだな。暗い中歩くのは危険か。今ならまだあたりは見えるし――どこか休めるところあったら休んだ方がいいかもか」
「あたりには――離れたところに林。ちょっと左手の方に高台?はありますね」
ちかがあたりを見回してから左の方向を指さした。
悠宇もそちらを見ると。確かに少し線路からは離れるが丘のようになっているところがあり。その頂上あたりにはいくつかの石、岩のようなものが見えている。
「ああいう高台の方が安全か?見晴らしがいいから草原の真ん中に居るよりいいかもな。岩?みたいなのも見えるし。後ろだけでも岩があれば警戒する範囲狭まるしな」
「確かにですね。岩とかが後ろにあれば後ろの心配はしなくていいですね。まあ確実に安全かは――ですが」
「まあな。でも草原だと全方向気にしてないとだからな。って、暗くなる前にあのあたりちょっと行ってみるか。で、休めそうなら明るくなるまでは休憩だ。そこまで線路からも離れないというか。線路が異質というか目立つだろうから見失うことはないだろう」
「ですね。行ってみましょう」
見事にみんなに捨てられた。忘れられた状態の悠宇とちか。正確には気が付いているのに――というお方もいるが。まあそれは置いておき。
悠宇とちかは慣れない土地にポンと放置されてもそれなりに対応していた。
というかこの2人だったからだろう。
特に混乱もなく。2人は一度線路から離れて丘の方へと向かうのだった。ちなみにその後ろ姿には不安という雰囲気はなく。どこか落ち着いた?雰囲気が見える2人の姿だった。
ちなみに、実は2人早歩きなどはしていなかったが。話しながらそこそこのペースで歩いていたため。このまま歩いたとしても真夜中――になる前には実りの町に着けるかも。というところまで知らず知らずのうちに来ているのだが――さすがにまだ数回しか見ていない景色ではそのことに気が付くのは無理だった。
そして、悠宇とちかがそれだけ進んでいるということは、機関車を利用していた人たちはすでに実りの町に着いているので――。
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