第52話 ちかステイブル
「うんうん。すごい安定感」
「な、何がですか」
シェアトの衝撃的な登場から数分。
悠宇はあっさりと落ち着きを取り戻していた。
何故かというと――悠宇に抱き着いていた(本当は悠宇がシェアトの方を見ないように。見えないようにしたかったが。身長の問題により。動けないように抱きついたが。あまり意味がなかった)ちかを見たからである。
本来ならちかの見た目も十分強いインパクトがある。髪色に特徴があり。そして、かわいい。初めて見る人ならいろいろインパクト。衝撃を受けるのだが。悠宇は違う。何年もすでに一緒に居るちかは見れば安心するような状態だった。
「ちか見てると落ち着くわー」
悠宇はそう言いながらちかを抱きしめる。さらにわしゃわしゃ頭をなでる。
いつも通りいじりを開始?した悠宇はどんどん落ち着きを取り戻していた。
「なんかおかしいでしょ!ってか、ちょ、恥ずかしんですけど」
「もうちょっと」
「いやいやいや」
先ほどの悠宇の状態となっているのはちか。顔真っ赤であるそして抜け出そうとしているが。なかなか抜け出せなかった。
「いつもしてるから大丈夫だろ」
「ここ外ですから!皆さん見てます――って、いつもしてないですから!」
「仲良いね。ほんと。うんうん」
ちなみに海楓は微笑ましく。保護者のように2人を見守っていた。
「ちかのかわいさが一番」
「も、もう!」
「かわいいかわいい」
「連呼するなーって、適当に言うなー」
「最高にかわいい。癒し。もう持ち帰る」
「も、持ち帰るって――」
「抱き枕におすすめ」
「――うん!?おすすめってなんだ!?」
「抱けば精神安定」
「いろいろおかしいですから!ってか、私でもドキドキしろー」
「いやー、無理」
「おかしいですから!って、離せー」
「あっ、抱っこしようか?」
「もう意味わかんない事言わないでください!」
いじりまくる悠宇はどんどん落ち着き。ちかがあたふた沸騰寸前となっていると。再度ドアが開いた。
「お待たせしました。皆さまどうぞ中へ――」
再度コールが姿を現し皆に声をかけると、いろいろと騒がしくなっていた場の空気が一度落ち着いた。
――ちかに関しては悠宇から離れることができたが。全く落ち着けていなかったが……。
とにかくそれから悠宇たちはシェアトの部屋へと通された。
少し恐る恐ると言った感じで悠宇を先頭にちか、海楓も入る。
悠宇たちの入った部屋は窓が高い位置に1つだけある部屋だった。
しかし驚きなことに、その窓からは太陽の光が部屋の中心に差し込んでいる。隅々まではさすがに照らせていないが。それでも十分の明るさを確保しており。先ほどまでの通路の暗さが嘘のようである。
また部内はあまり物はなく。机とベッド。小さな棚があるだけで広々とした感じだった。
けれど殺風景ということはなく。床にはマットが敷かれ。ベッドにはかわいらしいぬいぐるみが置かれており。棚には綺麗な装飾が施された小箱などが置かれていた。というかここ急に別世界。お城の中の一室見たいだった。
あまり室内をキョロキョロと見るのは失礼かと3人はそれぞれ思っていたが。でも自然といろいろなところ見てしまっていた。
そしてキョロキョロした後は様変わりしたとでもいうのか。シンプルだが。見るからに上等な生地。そして少しだけ装飾のあるドレスに着替えたシェアトの姿に目を奪われていた。先ほどの肌着1枚とは大違いである。悠宇以外のちかと海楓も見入っていた。なんせ3人とも初めて見るお姫様だったからだ。
なお、着替えを終えたシェアトの方はと言うと、自分が注目されていることにはもちろん気が付いていたが。それより。久しぶりの同年代と思われる客人を前に早くいろいろ話したくてうずうずしているのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます