第51話 シェアトインパクト
「――へっ」
現状。悠宇は唐突に視線に入って来た新しい人と、その大量の情報量?により間抜けな声を漏らしていた。
「「あっ」」
そしてそれは悠宇と一緒に居た海楓。ちかも同じくだった。
「ちょ、シェアト様」
「シェアト。なんという姿を――」
「はっはっさすが姫さん。相変わらずわんぱくじゃな。いいじゃないか。子供は元気。活発でよー。はははっ」
ガクを中心とした大人たちは驚きと呆れ声。さらには笑いと様々な反応をし。それと同時に一瞬思考が驚きなどなどいろいろな情報により停止していた悠宇が活動を再開し。即視線をそらした。
海楓とちかはまだ何とも言えぬ反応。あっけにとられた感じから――ここでちかも活動を再開した。
「えっ、ちょ、とにかく悠宇先輩!見ちゃダメです!」
くるりと悠宇の方を見たちかは、悠宇の目をつぶしに両手を伸ばした――が身長差により全く届かず。でもすでに悠宇は明後日の方向を見ていたので、そんなちかの行動には気が付かず。ちかはちかで届かなかったため。そのままなんとなく悠宇に抱き着くかたちで悠宇を明後日の方向へ向けた状態で固定したのだった。
「ちょと、シェアト様。なんで服着てないんですか!」
ちかの次に動いたのはシェアトの護衛。コールだった。
一応何が起きたか簡単に説明をすると。
シェアトがみんなの前に登場した。
登場したのだが。ひょっこり現れた少女が肌着1枚だったため全員がいろいろな反応をすることになったのだった。
その後は悠宇たちの前に出てきたシェアトをコールが慌てて室内へと押し戻していく。壊れ物を扱うように。またはコール自身がちゃんと自分の力を把握しているのか。慎重に、シェアトを押していく感じだった。
「へっ?あー、だって、誰か来ると思わないから。ってか、最近はいつもこんな感じだし。隠すとこ隠してるでしょ?ってか庶民ぽく見えるようにとか前にコールが言ってたじゃん。もしもの時のために――って」
「それにしてもです!というかあれは緊急時。今はまだ何があるかわからないので服は着ていてくださいっていつも言ってますよね?あっ、皆さんちょっと失礼します」
ちなみに当の本人は特に何も思っていない様子。
特に恥ずかしがる様子もなく。何故みんなが慌てたりしているのかわからないという表情を少し集まっていたみんなに見せつつ。コールと共に室内へと再度消えていった。
再度ドアが閉められると残された悠宇たちは再度いろいろな反応をしていた。
ガクは呆れながらぶつぶつ何やらつぶやいている。
アクはまだ笑っていた。
そして未だに明後日の方向薄暗い天井を見ている悠宇はというと。今脳内には肌着1枚だったシェアトの姿が鮮明に焼き付いていた。
忘れようにも忘れられないインパクトであり。パット見た感じは、ちかと同じくらいの身体。
しかし、海外の子供?女性の独特さとでもいうべきか。雰囲気は大人――でもあどけなさもあり。とにかく今まで見てきた子供とは何か違う。顔は整っており。身体のバランスがとっても良く。肌艶もよい健康的な身体。あれを見て忘れろと言うのが無理な事。
男子にはなかなかの衝撃だ。
おまけに肌着1枚ということがさらに大胆に身体を見せていたので――悠宇にはインパクトが大変強く。しっかり鮮明に脳内へと残ったのだった。
なお、もし今この場に悠宇の友人獅子が居れば即倒れて鼻血。血の海を完成させ。幸せそうにあの世行きとなっていただろう。
まだ悠宇だから――記憶に残っただけ。そのあと大事ににならなかったともいえる。
「うんうん。悠宇が男の子らしい反応してるねー」
「な。なんだよ」
すると、にこにこと明後日の方向を見ていた悠宇のそばに海楓がやって来て声をかけた。悠宇は声をかけられても天井の方を見ている。
「いやー、ほんとかわいい子?子って言うと失礼かな?でもかわいさもあって、でもどこか大人の雰囲気――うんうん。悠宇はああいうのが好きと」
「こんな時に変なことを言うな」
「でも顔真っ赤ー」
ここぞとばかりに悠宇をいじる海楓はかなり楽しそうにしている。
「――それはいろいろ仕方ない」
「今頭の中はあの子。シェアト――さん?ちゃんの事が100%と」
「そ、そんなことはない」
「天井まだ見てるのは意識をそらすためじゃないの?ってかもう部屋に入っていったよ?」
「――これはせっかくだから周りを見物」
「あっ。鼻血出てる?その場合上向くより……」
「だから何もない」
証拠を言わんばかりに悠宇はやっと海楓の方を見る。ここで悠宇もニコニコの海楓の表情を見て再度何とも言えない表情になっていると――。
「いやいや、もうこれはシェアトさんに一目ぼれかな?」
「だから、あれは――なんというか。仕方ないというかだな」
「じゃあさ。悠宇。ちかちゃんどこにいるか知ってる?」
「えっ?ちか?」
海楓に言われすこし周りを見る悠宇。ガクがぶつぶつつぶやいていたり、アクが笑っているという様子を見て――あれ?ちかはどこ行った?と、思うと同時に自分の身体が少し重い?と、感じると海楓が今度はニヤニヤして悠宇の下半身を指さす。それにつられるように悠宇は視線を落として――自分の身体が重いことの理由とちかを見つけた。
「――何してるんだ?ちか」
自分の身体に抱き着いているちかに声をかける悠宇。ちかはと言うと複雑そうな表情で悠宇を見上げていた。いや、呆れた表情をしていた。
「まさかの気が付かれていなかったとはです」
「それだけ悠宇はさっきの事が衝撃だったんだね。ちかちゃんが人前で抱き付いていても気が付かないってことは」
「いや――気が付いて」
「なかったです(なかったね)」
「……」
ちかと海楓にそれぞれ突っ込まれた悠宇。実際悠宇はちかが抱き付いている事に気が付いていなかった。シェアトのインパクト恐るべきであり。第1印象としてはなかなかのものだったということだ。
だが。ここで悠宇はとあることに気が付いた。
「――」
「な、なんですか」
悠宇がジーっとちかを見ていると。先ほどから顔がほてり。何やらドキドキ心拍数が上がっていた悠宇だったが。ほてりがひいていき。さらに心拍数も落ち着いていくのに気が付いた。
「おお、さすがちか。やっぱちかすごいわ」
「へっ?」
唐突に悠宇に褒められたちかが今度は顔を赤くする。
そんな2人の様子を見ていた海楓は苦笑いからの『いつも通りかな?』と、言った表情をし。温かい目で2人を見るのだった。
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