第150話 意気投合!? ★ ◆

 ★


 開けっ放しの窓から入って来る風によりカーテンがふんわりとなびいている中。


「ぐがぁぁぁ――ぐがぁぁぁ―――」


 ……静かな朝の雰囲気をぶち壊すようないびきをかいて、掛布団はどこかへとぶっ飛ばし気持ちよさそうに寝ている老人が居た。


「――ふあっ!?」


 と、思ったら何か夢でも見たのか。急に老人は起き上がった。

 老人の名をオニト。

 現在は老後生活というべきか。この地でいろいろ起こし。それはそれはたくさん起こし。とにもかくもいろいろやって自分の国を完成させたオニト。今は自由気ままに過ごしている最中だったのだが――今日のオニトろくでもないことを思いついていた。


「ひらめいたぞ!ちょっくら向こうから人を迷い込ませたらこの世界もっと発展するんじゃねえか?そうだ。そうに違いな。思い立ったら即行動!やるのじゃ!わし!って、わしがするんだな。そうだな。わししかできるやつはおらんからな。あー、今日は女の子と遊べんじゃないか――でもこの世界のため。そうじゃ。もしかしたら女の子らがわしのすごさでさらにあんなことやこんなこと――にひひひっ。やるぞ!」


 ……マジでろくでもない爺である。

 ホントろくでもない爺。

 朝から何を叫んでいるのか――である。

 しかしこれがこの老人。オニトの世界の一部のようなもの。


 その後、寝床から無駄に元気に飛び起きたオニトは、すっぽんぽんのまま部屋の机に向かった。

 ――何故にすっぽんぽんなのかは――触れないでおこう。

 なお、高齢の割にはそこそこいい身体をしていることだけは言っておこうか。

 何故すっぽんぽんなのかは――まあ触れなくてもわかる人はわかるだろう。


「おーしおーし。じゃ、どうするかなー」


 そこからオニトは少しの間あーだこーだ考えるのだった。


 ◆


「よし!今日こそかわい子ゲットするぞ!」


 朝から足取りかろやか?な元気な男。その名を獅子という。

 昨日は夜にいろいろドタバタ劇?があり。大変だった獅子だが。翌朝はいつも通り。いや、いつもより早く行動を開始していた。

 すでに自宅を出発している獅子。向かっている先は――。


「とりあえずおとんがまた新たな美少女ゲットしてるとか許せん。っか、蹴とばされた気がするし。うん。たまには俺がハーレムでも問題ないはず。ってこと、朝一からおとんを確保。そしてまずは昨日の美少女を――いや、待てよ」


 1人ぶつぶつ言いながら歩いていた獅子はふと足を止めて考え出した。

 なお――どうでも良いことを考え出したのだが――まあお付き合いくださいだ。ちなみにすでにこの時間。悠宇という存在はこの世界から消えていたりするのだが――それはまだ獅子は知らない事。


「朝っぱらからおとんの家に乗り込むともしかして――おとんが1人ハーレムしている状況に突撃してしまうのではないか?だよな。おとんが女神様から異世界の美少女ちゃん――あっ、昨日の美少女ちゃんまでをいじめている現場が目に浮かぶ――」


 ……朝っぱらから自分の家近くの車通りの少ないでそんなことをぶつぶつつぶやいている獅子。

 明らかに不審者。またお巡りさん登場まで――とかとか言う状況になりそうなのだが。獅子はいたって真面目に考えていた。


「――許せん。おとんが独り占めはやはり許せん。そうだ。クラスでもちやほやされるおとん一度罰を受けるべき。そうだ。昨日俺は蹴とばされた。その罰もおとんに――とにかく。今行われているであろう。おとんのハーレムを妨害する。それが俺に課せられた使命。そうだ使命だ!獅子!行きまーす!」


 ……マジで何をしているのか。誰かツッコミを入れてやってほしい。

 しかし獅子の周りには――誰一人といなかったのだった。 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る