第151話 意気投合!?2 ★ ◆

 ★


 この世界にお巡りさんが居たら今すぐにでも誰か通報してほしい。

 なお、余計なことだが。この世界にもお巡りさんという名ではないが。町の治安維持をしている集団がちゃんとある。あるのだが――この老人に手出しできる者はいないので――どうすればいいのだろうか。

 誰か知恵を――無理か。


「どーやって引き連れる?無理矢理か?やっぱりかわいい子が増えた方がわしは良いな。うんうん。べっぴんさんを向こうから――でも、かわいい子ちゃんにそんな事させるわけには――もしかするとわしと会えないとそのまま――うーん。どうすればいいんじゃ!」


 未だに寝起き。すっぽんぽんのまま机に向かって何か言っている老害――失礼。ご老人。

 今この老人。オニトが何をしているかというと。ざっくり言えば、この世界の設定をいじっているような事。 

 ――設定ってなんだよ。と言われると――それはオニトに聞いてくれとなってしまうのだが。とにかく、現在オニトの居る世界はオニトがかなりいじっている状態だ。

 いじってなければ、この変態くるくるぱー老害は即牢屋行きとなっている。

 

「どーすればいいんじゃ!向こうの世界の女の子も増えてほしいが――今待て、今は向こうの知識をこちらへじゃったな。つまり――つまりだ。うん?なんだ?どういうことだ?」


 頭を抱えるオニト。

 それからしばらく唸り続けた結果――。


「――そうじゃ!今回はかわいい子ちゃんじゃなくていいのじゃ!どうじゃ。適当に――嫌でも適当に向こうで人が消えると厄介か。ってことは――いずれこちらの人間が向こうの世界に――って、そうじゃわしが向こうに行く予定があるのじゃから――そうすれば自然とこの世界の人間と接点を持った奴が向こうにもできる。そうじゃそうじゃ。それを使うかの」


 オニトは何かをひらめいた様子で、そのあと自分の脳内。一般の人には見えないところでたくさんの文字?らしきものをいじるのだった。

 この老人が何をしているのか。わかる者は――多分誰もいない。

 

 なお、この時のオニト。何度も言うがすっぽんぽんである。

 馬鹿は風邪をひかない。とかとか言うかもしれないが。

 翌日オニトは風邪をひいた。

 オニトの場合風邪=女の子に看病してもらえる。ちやほやしてもらえる。と、言うことになるため。ちょっとした風邪だったのだが。風邪ということには敏感に反応でき。盛大にそれはそれは危篤状態のように演技をするのだったが――それはもう言わなくてもいいだろう。


 しかし、オニトの風邪とは別に1つ言っておかなければいけないことがある。

 この時また何かをやってしまった。やっていたオニト。

 それは今オニトが突然思い立ったこと。居る世界に新しい知恵を――という考ええから、あちらの世界から誰かを新たにこちらへ――。

 というものだったのだが。

 このすっぽんぽん老人。この時すでにちょっと風邪をひいていたのか。それとも単に寝起きでこんなことを始めたのが原因か。

 

 ミスをしていた。


 そのミスはそこそこ大きなミスとなり――まあ数年。数十年後くらいにとある青年を巻き込んでしまうことになるのだが。


「おっしゃ!できた!べっくっしゅん!!――うん?風邪か!風邪ひいたか!これまたよっしゃ!」


 ――くしゃみ1つでも何やら楽しい方向?に持っていけるオニトだった。


 ◆


 ところ変わって、朝から悠宇の家へと向かう途中の獅子。

 未だににて何やらつぶやいていたのだが――。


「あっ、こんなところで立ち止まってちゃスクープ逃すじゃねーかよ。おとん!待ってろ!ハーレムぶっ壊しに行くぞ!いざ出発!」


 ぶつぶつつぶやいた後やっと足を再度動かしだしたのだが――。


 パァン。パァァァァァァァァン!

 

 交差点。つまりは道の真ん中に居た獅子。そこに居ればいつかは車が来る。

 そして運の悪いことに朝の割に車通りが少なかったからだろうか。

 超スピード違反のトラックが獅子の方へと一直線に突っ込んできたのだった。

 それはそれは、獅子本人は全く痛みも感じる暇もなく――病院のベッドに身体は運ばれたのだが――。


 本人の意識はというと。


「――ここどこだ?俺は――」


 気が付けば見知らぬ森に居り。何故か切り株に座っていたのだった。

 そして一通りいろいろなことを思った後。


『――いいね。よし。それで行こうか――って、どっちに行こうかね』

 

 トラックに跳ね飛ばされたことなど全く覚えていない茶髪のボサボサ頭の男性は森の中を歩き出したのだった。


 ★


『この世界の人間と接点を持った奴』


 オニトのあの時の設定。

 実はこれが遠い未来で、悠宇たちの住む世界にやって来ていたシェアトと遭遇してしまった獅子に反応してしまうのだった。


 獅子。見事に巻き込まれた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る