第201話 ミニ焼きリンゴ

 焚火のところに戻ってくると、悠宇とちかはまず焚火の火に木や枝。枯れ葉を入れて火を強くした。火をつけるのにはそこそこ苦労した悠宇たちだったが。一度付いた火を維持するのは良い感じに出来ていた。


「さて、このリンゴみたいなの――リンゴでいいのか?」

「見た目は――リンゴ?のミニですね」


 そして火の準備ができると、悠宇がちょうど座れそうな平べったい石を2つ見つけて来て、それを焚火の前に置き。2人は並んで火の前にすわった。

 そして、自分たちが取って来た実と再度にらめっこを開始した。


「これ――細い木に刺して焼いてみるか。切る道具ないし。下手に潰して無駄にするのもだし」


 ――にらめっこ。というよりこの2人安全とか関係なく。もう食べちゃえの雰囲気だったりする。特に慎重になるという雰囲気は2人にはなかった。


「あっ、マシュマロ焼く見たいにですか。いいですね。それでいきましょう」


 ちかも心配――とかより。今が楽しいといった感じ。本当に2人でキャンプをしているような状況だった。


「そうそう、えっと――まあとりあえず木で刺して」


 この2人を止める人はこの場には誰もいないのでどんどん話が進んでいく2人。

 それから悠宇とちかは取って来たリンゴ――みたいなものをとりあえず細めの木にいくつか刺して焚火の近く。地面に刺していく。

 まるで魚を焼いているかのようにミニサイズのリンゴ?みたいなものが火の回りに並んでいく。


「じっくりと、直焼きしてみるか」

「ですね。なんかこういうの楽しいですね」

「ああ。安全性全くわかってないが」

「でも普通に見た目は問題ないですし――なんか食べれる気がするんですよね」

「奇遇だな。なんかわからんが俺も食べれる気はしている」

「なら大丈夫ですね」


 一通り実を木に刺した2人はそれぞれ一本ずつ再度実の付いた枝を手に取り。火に近づけた。ってか、本当に今を楽しんでいる2人。2人の周りの空気は和やかだ。

 もしこれが毒でもあるような実だったら――それはそれは大問題となるのだが――すでに明かしている通り。この2人。普通に食べれる実をゲットしていた。

 それにもしこの場にガクたちが居れば、すごく食べたがったものでもある。

 実はこの悠宇たちが見つけた実は丘の反対側にあった。反対側というのは実りの町方面。線路がある方からだと見えない場所にあった。

 そして、今まで実りの町というのは基本外に何か探しに行く――というのは一部の人だけで、知らない場所。方向へはほとんど行かなかったため。見つけることが出来ていなかった。見つければ実りの町の食料事情はよくなっていたりするのだが――見つけれなかったので仕方ない。

 そもそも実は実りの町の近く。自然の中にはこういう食材がまだ他にもある。単に見つけれていなかった。ちゃんと探していなかっただけなのだ。まあ実りの町。ガクたちは主にシェアトを守ることに力をすべて注いでいたので仕方ないが――。

 そして、これもそのうちわかることであるが。ガクたち。シェアトを守りすぎたということもあり。いろいろ――残念な方向へと進んでいたりするのだが――今はいいか。


 余計な話をしている間に、丘の上には少しだけ良い甘い香りがしてきていた。

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