第113話 救出 ◆
建設中の実りの町の駅から少し行った古い線路のところに人が集まっている。
そして警戒をしつつ。皆があたりを確認している。
その先では線路から大きく外れ。転覆している漆黒の蒸気機関車。ボディにはへこみや傷が見られ。自走はできないであろうという状況である。
「――あっ、居ました!ガクさん!ガクさん!」
「コールさん!コールさん!大丈夫ですか!?」
すると、機関車から少し離れたところで実りの町の住民の声が聞こえて来た。
「――どくのじゃ」
「何があったんだよー。生きてるかー!コール」
その声のところへと向かうのはグレーの長髪を揺らしているガクと。ふさふさのアフロのような髪を持ったアクである。
ガクが住民のところへと向かうと声をかけてきた住民の前では、傷だらけになったコールが横たわっていた。
「おい。コール。お主はそんな簡単には死なぬだろ」
「――あー、ガク……」
「何があったんだ。コール。シェアトは?」
「――さ、さらわ……れ……」
途中まで意識のあったコールだったが。少し話したところで、ガクっ。と意識を手放した。
「コール!なんじゃ、皿が割れた?なんじゃそりゃ」
ガク。違う。
「おいおい、死んだか?って、何がどうなってるんだよ。って、ベクーベクー。治療できる奴連れてこい。ベクー」
コールを見つつ駅の方から遅れてやって来る姿が見えたベク(ツルツル頭により居場所はよくわかるためすぐに見つけた)を見つけたアクがベクに向かって叫ぶ。
するとベクはちゃんと聞こえたらしくすぐに回れ右をした。
のだが――。
「うん?」
「どうした?ガク」
ふと、ガクがコールをじっくり観察した。
その様子を不思議そうにのぞき込むアク。
「これは――寝とる」
「……はぁ?」
アクはガクのつぶやきにより。間抜けな声を出すのだった。そして再度コールを見ると――確かにちゃんと生きている。そして――規則正しい寝息が聞こえなくもなかった。
「――別に医者いらねーか」
「コールじゃしな。水でもぶっかけたら起きるじゃろうな」
「ベクー!やっぱいらねー」
ちょっと心配して損した。などと思いつつアクが再度ベクが居た方に向かって叫んだが――すでにベクの姿はなく。それから少しして町の人。治療ができる人を連れてベクは戻って来たのだった。
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