第198話 ちょっと運がないことも――
川の水は雪解け水のように冷たいものではなく。でもぬるくもないといったちょうど良い冷たさの水だった。
ちなみに2人が小川の水に手を付けたからといって何か起こることはなかった。
「運いいですね。私たち。水も綺麗そうですし」
「だな。こんなに近くに水があったんだな」
ジャバジャバと2人は手を洗っていく。悠宇の方はかなり手が汚かったこともあり。悠宇が手を洗えば少し水が濁る――だったが。それは川の流れと暗さですぐにわからなくなった。
というかこの2人。自分たちの置かれている状況を忘れているのか。キャンプでもしている。ちょっと今日は外で寝泊まりする予定ですといった軽い雰囲気。特に今の状況を心配しているといった雰囲気は2人の会話からは全くない。かなりリラックスしている。
「もしかすると、私たちって実りの町の結構近くに居たりするんですかね?確か実りの町って――農作業?元は豊なところ――言ってましたし。水に困っている感じはなかったですから。町の近くだからこんな小川が?」
「あー、それもあるな。まあ今は暗くて周りわからないがな。または機関車で走っている時も大きくはないが川はあったからな。このあたりは水は困ってない?」
「あー、そういえばちょくちょく川ありましたね。って、そう考えるとホント先輩の線路作る能力すごいですよね。どんな地盤でもしっかり固めている?ってことですよね?」
「まあそうなるな。特に疲れとかもないが。ってかちかの能力もなかなかだがな。何でもじゃなくてもそこそこお金にできそうだし」
「でも今の状況お金あってもですけどね」
「それそうだが――でもホントもし都市部?とかいく時はちかの能力注意だよな。ちか攫ったらそこらへんの物お金に返れるんだから」
「実はこの土地とかも現金化できたりして?」
「ちか。それがもしできた場合。いきなり――って、この地の地下がどうなっているかはだが。土地がお金に。足元が一気にマグマまでなくなりますとかいやだぞ?」
「さすがにそれはないといいますか。できないと思いますけどー。でももし大きな町にいく時は注意ですね。まあ先輩の能力もだと思いますが」
「線路作れるだけだぞ?」
「でもガクさんたちかなり驚いてましたから」
「あー、まあそれは確かにか」
ちなみに2人が話している間に余計なことを触れておくと、ちか当たりである。実はこの時の2人は実りの町の近くまでは来ていた。でもこれは残念なことに、というべきか運が悪かったというべきか。今悠宇たちが居る場所からではまだ実りの町の姿形を捉えるのは難しかった。あと、実りの町は夜になるほとんど暗くなってしまうので、今の状況では発見は難しかったのだった。これが昼間なら丘の上からちょっとだけ町が見えたかもしれない――と、いうところに居た。
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