第197話 水を求めて

「じゃあ先輩。ちょっと近くの散策。第一に水ですね。あと、あれば――食べ物もるといいですよね?」

「ああ、だなー。まあ食べ物は――難しいだろうが。水は欲しいな」

「ですよね。喉もちょっと乾いてきてますし。最悪――食べ物は今のところなくてもいけます」


 手作りの松明に火が付いたところで、悠宇とちかはすぐに次の行動。水探しを開始した。

 手作りの松明がどのくらい持つのかわからないため。2人の行動は迅速だった。

 とりあえず話が終わるとすぐに2人は丘を少し下り。水。または食料になりそうなものを探しだした。

 あたりはすでに暗くなっているが。悠宇とちかで作った松明は以外にも、というか。2人の予想以上に足元を照らすには十分だった。悠宇が多めにボロ布を巻いたことも幸いか。そこそこしっかりした火がついている。そして風も今はほとんどないため。火が消えそうな心配も今のところなかった。

 とまあ、松明を作るまでは――まあできなくはない事だろう。しかし、普通ならそう簡単に水が見つかるというそんな都合の良いことはないだろう。

 ないのが普通なのだが――。

 丘を下りて少し歩いたところでだった。


「あれ?先輩なんか水の音――?聞こえませんか?」


 まずちかが歩きながら音に気が付き。それとほぼ同時に悠宇も音に気が付いた。そして2人で注意しつつよくまわりを見ていくと――。


「「――川!」」


 小さな川。小川があった。細い川だが水がちゃんと流れている。

 小川を見つけた2人はすぐに小川へと近寄った。本当に、運の良い二人というべきか。

 ちなみに、この時の2人は自分たちがもともと歩いてきた方。線路がある方とは反対側におりていた。何故わざわざ知らない方向へと暗闇の中おりたのかというと。丘に来るときに特に川があった記憶がなかったからだ。なら知らない方に何かあるかもしれないと2人は来た方とは逆におりてみると――たまたま小川があったのだった。

 運は2人の見方をしているらしい。

 

「飲めるかはだが。手は洗えるな」


 悠宇は小川のところまで来ると、近くの大小の石を集めて、松明を地面に刺した――というより石で固定した。

 風がないのでしっかり固定すれば倒れる心配もなく。松明の火もまだしっかり燃えているので、松明の近くだけだが。それでも松明を手にもたずとも小川の水がそこそこはっきり見えるレベルであたりを明るくしていた。

 ちなみに川の水は見た目はかなり綺麗だ。松明の火で浅い小川の底が見えている。とりあえず2人は川へと手を付けてみるのだった。

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