第89話 その頃……3

 ヴォォォォォ……。


 実りの町で食料など必要なものを載せれるだけ載せて再度杜若へと向かっていたコール。

 帰りはまだ方向転換をする設備がないためバック走行だったが。操作自体が簡単なため問題なく杜若近くまで戻って来ていた。

 なお、ここまでほぼ休憩なく活動しているコール。

 さすがに疲れも見えだしていたが。もうすぐ杜若。さすがに到着すれば、悠宇たちもいるので一度休めるだろうなどと思っていた。

 いや、もしかすると、シェアトが大変迷惑をかけているかもしれず。その対応――などなどいろいろ思うこともあったが。とりあえず機関車を走らせていた。

 すると、コールの視線の先にも草原の中にぽつんと現れる立派な駅舎が見えていた。

 本当に突然――ではないが。なぜそこに。という場所に駅がある。


「スピードを抑えて……」


 ここまでくればコールの操作もなかなかのものとなっている。

 自分しか乗っていないが。揺れの少ないように機関車にブレーキをかける。

 

 キィィィ……。


 特に停止位置などはないが。コールはそのまま杜若の駅舎の横。出発時に機関車が止まっていた位置にピッタリと機関車を止めた。


「――ふー」


 そして大きく息を吐いて力を抜く。

 だが。本当はここでコールは気が付くべきだった。 

 あまりにも杜若駅周辺が静かすぎたことに――。

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