第178話 お久しぶり――です?3

 ちかにより運転席から脱出?した悠宇。

 何故か四つん這いになっているのは――触れなくていいだろう。


「悠宇先輩。何してるんですか?」

「いや――今なんか運転席から落とされたような――」

「知りませんよ?」

「……」


 明らかに悠宇の背中を押せたのは運転席に座っていた悠宇の腕をひき。そのままの流れで外へと押し出したちかなのだが――そのちかはというと、悠宇の隣に一度は行ったものの。止まることはなく。一声かけてそのままこちらへと向かってきているガクたちのところへと歩き出していた。


「――俺なんかした?」


 悠宇は自力で立ち上がり。なんか――拗ねているではないが。ちょっとだけ不機嫌?のちかの背中を慌てて追いかけるのだった。


「あー、あれは1人だけくっつけなくていじけてるね」

「うん?海楓なんか言った?」

「何も?」


 そして運転席に待機中の2人。と言うべきか。取り残された2人は運転席から顔だけ出して悠宇とちかの様子を見ているのだった。

 ちなみにシェアトは逃げる準備。ハンドルを手にもとうとしたが――。


「――勝手に触ると悠宇に怒られるかしら?いや大丈夫――うーん」


 という考えがちょっとだが。頭の中に浮かんだため。今のところハンドルを操作する雰囲気はなかった。


「悠宇殿!ちか殿!」

「普通にシェアト様無事そうだな。コールの暴走か」


 悠宇とちかがガクルックス。ガクたちの方へと歩き出すと、前からはガクの少し慌てている様子の声と。こちらはいつも通りの雰囲気で話しつつ。ガクよりも元気な姿。歩き方でアクルックス。アクも歩いてきていた。

 ちなみに2人の後ろ。少し離れたところではかなり疲れ切っているお爺ちゃんたくさんだが――今は再会できたと後ろもわかったのか。それぞれがその場に腰を下ろし。勝手に休憩を始めていた。


 そしてそれほど時間はかからず。まず悠宇とちか。ガクとアクが線路上で再会した。


「悠宇殿。何があったんじゃ!?一体今までどこに!?」


 悠宇とちかの前まで来ると慌てた様子でガクが悠宇を問いただす。


「えっと、なんか――ちか。これやばい感じ?」


 悠宇とちかからしてみれば数十時間ぶりの再会。まあそれほど時間は経っていない感覚で居たため。どうもお互いの雰囲気が違う。

 ガクの慌てた様子を見た悠宇はこそっとちかに声をかける。


「えっと――かなり心配されていた雰囲気ですね」


 ちかも少し戸惑いつつ悠宇の問いに答えた。

 そしてそのあとガクによるかくかくしかじか――の会話があり。


「――つまり数日。数週間?俺たちは行方不明――」

「そういうことじゃ」


 悠宇たちがそこそこ長い期間行方不明扱い。もしかするとシェアトを誘拐――という疑惑もかけられ。そして捜索隊というような形で、ガクたちが杜若を向かっている途中ということを知るのだった。


「――そういえば先輩。私たち時間の事一応は気にしてましたよね?」

 

 ガクに説明を受けている間にちかがそんなことをつぶやいたが。まあ時すでに遅しと言うべきか。いろいろと周りに迷惑。心配をかけていたのだった。


「まあしていたが――にぎやかでなんか忘れてた。とりあえず――シェアト様は無事です。単に帰りたくないのか後方の機関車に海楓と引きこもってます」


 ガクの説明を受けた後悠宇は今だに運転席からこちらの様子を伺っているシェアトの方を見つつ答えた。

 なお、ガクはすでに悠宇とちかと話している段階でシェアトの存在は気が付いていたらしく。駆け寄っていくということはしていなかった。

 どうやら自分が近寄ると逃げるかも――ということがガクもわかっている見たいだった。

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