第179話 お久しぶり――です?4

 ガクたちと合流することができた悠宇たち。

 先ほどまでは止めてあった機関車の近くで話していたが。今は機関車のところへと移動して――。


「私はこのまま悠宇のところで住むわ!」

「シェアトよ。そんな事急に言ってもな」


 ……わがまま姫の 相手をガクがしていた。

 ガクとアクが近付いても逃げることはなく。一応機関車からは出てきたシェアトだったが。今は――まあいろいろ言っているところだった。


「――にしても、俺たちの前でこの機関車って脱線していたんだがな」

「えっ?」


 ガクとシェアトのやり取りを一歩離れたところで見ていた悠宇にアクが声をかけた。というかアクの言葉に悠宇は少し驚きつつ反応した。

 脱線していた。という言葉があったからだ。


「悠宇殿。機関車は――複数あるのか?」

「えっと――これだけですね。ってか脱線?」


「うん。あれは――さっきのガクの話で言うと――2回目のコールが戻って来た時だな。なんかどえらい速度で町に突っ込んできて、作っていた駅を通過してそのまま古い線路に入って横転していたな」

「えっ――でも、俺たちが戻って来たと言いますか。杜若の駅に戻って来た時には普通に駅にありましたけど?」


 ちなみに悠宇たちは別世界に居たということは伏せている。

 ややこしくなる可能性があったのと。シェアトがさらりと向こうの世界に行っているが。時間の流れがやはり違う。でも悠宇たちは多分ガクたちより時間が経過していない――と、何やらややこしいことになりそうな気がしたため。今のところはちょっと探検。杜若の周りに本当に何もないのか散策していたら――かなり時間が。ということにしていた。そしてコール。シェアトの御付きのコールサックスが行き来している時はたまたま不在――ということに話をまとめたのだった。


「っか、こっちでも不思議なことがあったんだよな。横転した機関車どうするかと思っていたら消えるし」

「――えっ?消える?」

「そうなんだよ。突然俺たちの前から消えてよ。探しても探しても近くにはないし。もうお手上げ――とか思っていたら。杜若向かって歩いていたら普通に走って来るし。見る限り――脱線した跡もないというか。この機関車常にピカピカだな」

「それは――ですね。うん」


 悠宇は脱線のこともわからず。さらにはこの機関車がいつもきれいな理由も知らないため。苦笑い。という形で機関車の周りを歩きつつ。話すアクの相手をしていた。


「ところで、今私たちって、どのあたりに居るんですか?」

「うん?ここかまあ実りの町から――1日、2日ってところか。こっちは移動のスピードが遅かったからな。まあ機関車があればあっという間の距離だな」

「ってことは、私たちは結構実りの町の近くまで来ていると――」


 すると、唐突に海楓の声が聞こえて来た。そしてその海楓の声が聞こえたアクが返事をしていた。

 

「海楓は突然現れるな。さっきまでシェアトの横に居なかったか?」

「激しいバトルが始まりそうだったから。悠宇のところに避難してきた」

「バトルって――」


 海楓と話をしつつ。悠宇がふとシェアトとガクの方を見ると――。


「私は悠宇のとこ行くの!」

「それは許可できん。杜若へは一時的な避難じゃ。一緒に住むのはまた別じゃ」

「そんなの知らないわ」

「……」

 

 何やら揉めていた。が。海楓の言うような激しいバトルが起こるような雰囲気は――なかった。単なるお爺ちゃんVS孫?の言いあい?だった。和やかに――見れなくもないレベルのものだった。


「そのうち、魔法とか使うんじゃない?」

「いや、海楓が言うようなことは起こらないかと――」

「シェアトの言っていた精霊の力も見てみたいし。他の人の能力も気になるじゃん。もしかしたら私の持っている能力のヒントも――かもだし」


 何故かシェアトとガクの様子を見てワクワクしている海楓だった。

 ちなみに今のところ海楓はまだ悠宇やちかのような能力は何も発見できていない――と、言うところで、悠宇がとあることを思い出した。


「そういえば。俺って、実りの町から別の町に線路を作っていたような――」


 悠宇の能力。線路がどんな理由なのかはわからないが。作れるという能力。そしてそれを使って他の町への交通手段と言うべきか。線路をシェアトとコールだったかに頼まれ敷いていることを思い出したのだった。そしてその話ガクさんたちに伝わってたのかな?などと悠宇が思ったとき。


「あー、そうそう。悠宇殿。多分だが。もう隣の町。ドーナツ国には繋がっているかと。あれもびっくりだったな。来る途中にドーナツ国の方向に線路続いていてな。あっ、コールからな。悠宇殿が線路を――って話は一応聞いてな。まあさすがにあれから時間も経っているし。線路が出来てるだろうな。まあ向こうから誰か来ているとかは――今のところわからないがな」

 

 そして悠宇のつぶやきに近くに居たアクが反応し答えてくれたのだった。


 どうやら正確な情報かは今のところ不明だが。気が付けば新しい町と線路が繋がっている様子だった。

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