第33話 友人の呟き ◆
「人と魔王が結婚したらどうなるんだ?」
「……病院行きたいなら。高校前のバス停から駅まで行って駅で乗り換えだな。または歩いて行けば1時間くらいで着くと思うぞ?」
「人が雑談しに来たのにいきなり病院の紹介始めるな!」
とある日の休み時間。場所は学校。そして悠宇たちの教室の前の廊下。
外の空気を吸いに悠宇が廊下へと出てぼーっと窓の外を見ていると。悠宇の隣に人影現れ。唐突にそんなことを言ってきたところである。
もちろん。悠宇はやってきた人物が獅子と声ですぐに分かったので、そのままぼーっと窓の外を見つつ一応返事をしていた。
「いや、意味不明なことを言い出したからな」
「意味不明なことかよ。おとんは人を知らないのか?自分なのに」
「再度病院へ行くことうをおすすめする」
「あっ、魔王がわからないのか。魔王ってのはな――えっと、おとんどうやって説明すればいいんだ?悪の親玉?敵?いや――角がある魔人のお偉いさん?」
「――マジで何を言っているのか」
「だから。人と魔王が結婚したら――だ」
「……何かそんなアニメでも最近あったのか?悪いが今特に見ているアニメはないな」
「違う!例えばの話をしてるんだよ。この前おとんが異世界の美少女ちゃんと放課後デートしていただろ。それを見てふと思ったんだ」
「……いや、マジで意味が分からんというか。なんでちかと出かけていたことを知ってるのか」
「俺の情報網を舐めるなよ。かわいい子ちゃんのことならほぼほぼわかる」
「おまわりさん呼ぶか。いや、海楓にチクる――」
「馬鹿野郎!女神さまに嫌われたら俺引きこもるぞ」
ちなみに海楓は教室内で友人と話しているのだが――廊下の悠宇たちの会話が聞こえているかは微妙である。
「いいんじゃないか?」
「冷たい!俺の親友は冷たすぎる。氷だ。氷の心だーなんでこんな奴に女神様も異世界の美少女ちゃんも寄っていく――くぅぅ」
獅子と話し出して何度目かの悠宇のため息は獅子は気が付かなかった。
ちなみに悠宇は『早くチャイムならないかなー』などと思ったりしている。
「でだ」
「何がでだ。なんだか」
「いやよ。人間と魔王って寿命違うだろ?」
「いや――知らんというか。そういうのって物語の話で――」
「いいから」
「いいのか」
「とりあえず人間の寿命を80とするだろ」
「はいはい」
「魔王を1000としたらよ。結婚して子供が生まれたらその子供はどっちの寿命になるんだ?」
「マジで獅子が何を話しているのか。この会話の必要性がわからないが。そんなのわからんだな」
「いやいや、おとんならわかるだろ?」
「なんでわかると思うんだよ」
「おとんの爺ちゃんは異世界の話好きだったみたいだからな。その遺伝を持つおとんならわかるかと」
ちなみに獅子。悠宇の爺ちゃんのことは知っている。それは海楓が少しだけ獅子に悠宇の爺ちゃんの話をしたことがあるからである。
海楓は詳しくは言っていないが。悠宇爺ちゃんはとっても面白い人。異文化とか詳しそう。という感じで獅子に話しているのだが――それを勝手に獅子は自分の中で解釈し。異文化が異世界。つまりアニメなどにも詳しいと変換されているだけだったりする。まあ悠宇も別に間違っていない気がしたのと、話すと余計な話もしないといけない。することになるかもしれないので、あまり触れていなかったので獅子の妄想が広がったとも言える。
「――そんな遺伝は受け継いでいないな」
「そんなことはない。おとんなら受け継いでいる」
「その自信はどこから――って、どっちかの遺伝または半分くらい。ちょっと長生きとかになるんじゃないのか?知らんが。っか、獅子何か物語でも考えているのか?」
「いや、おとんがもし異世界の美少女ちゃんと結婚して子供作ったら。その子供はどのくらい生きるのかと」
「何をくだらない妄想をしているのか」
「ふと思ったんだよ。女神様とそんな話があったらおとんを殺める必要があるが」
「普通に俺の身が危険」
「でも異世界の美少女ちゃんならOK」
「謎というか。自由にいろいろ話すやつだな」
「暇だからな」
「ならどっか行け。俺は暇じゃない」
「暇そうに窓の外でラッキースケベが起こらないか待っているくせに」
「それは獅子だろうが」
「もち!」
「……」
マジでチャイム鳴らないか?と、教室内の時計を確認する悠宇。しかしまだ2分ほど休み時間はあった。
もちろんその事実を知った悠宇はがっくりである。この時間では逃げることもできないからだ。
「でだ。おとん。異世界の美少女ちゃんとはどうなんだ?」
「なんでそれを獅子に話す必要がある?」
「ここでおとんが異世界の美少女ちゃんとくっついた認定が出来ればあとは女神様争奪戦が行われるからな」
「――マジでこいつは」
しかし、実際のところ獅子が言っていることも間違いではなかったりする。
海楓の隣から悠宇という存在が消えると空いたポジションは取り合いになるのは必須である。
「おとん。悠宇が両手に華ってのは許せんって声が数百件寄せられているからな。さらにクラスの女子の好感度も高いおとん――って、おとんって名前がダメだな。なんか接しやすくなっている。誰だよ!こんなあだ名を考えたの――俺か!」
「……勝手に1人で完結してるし」
隣で騒ぐ獅子の様子は廊下を歩いていく他の生徒も気にするくらい目立っている。また女子生徒に関しては適度な距離をとって通過しているのは――先ほどの獅子の声が響いたからだったりするが。獅子は知らない事である。
「よし、今日からおとんは悠宇だ!」
「普通に戻ったな」
「普通は面白くないな――じゃおかん!で」
「無茶苦茶なことばかり言って――」
「いいんだよ。って――なんの話してた?」
「……」
悠宇がズッコケそうになった瞬間。スピーカーから授業開始を告げる予冷が鳴りだしたのだった。
悠宇と獅子の休み時間。謎な会話をして今日も終了していくのだった。
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