第77話 ぽちっとしたいお年頃?
コールが出発した後、駅舎の中には悠宇と海楓。ちか。シェアトの4人が居た。というか4人しかこの土地。杜若という土地にはいない。
男1人に女3人の状況である。
そして今何が起こっているかというと――。
「――絶対ここ何か隠してない?」
「「……」」
ハーレム状況となっていると、思った方。
残念。
現在駅舎内では名探偵シェアトが登場していた。
「悠宇と海楓とちかがこんな何もないところにたまたまやって来るってないわよね?つまり3人は何か重大な秘密を隠している――いや持っているはず。じゃなきゃこんなところで3人で暮らしているとかないはずだし」
「「……」」
シェアトが駅舎内を顎に手を当てながら歩きつぶやいている。
その様子を何とも言えない様子で見ているのが悠宇とちか。
海楓に関しては『なんか楽しそうなことしている』と、シェアトを見つつつぶやいている。
「明らかに住んでいる痕跡のない場所――いや、もしかして何か隠されている?そうよね。そう考えるのが普通?もともと杜若はすでに人が居なくなってしばらくって聞いていたけど、それが事実だとは限らない。もしかすると隠れるすべを持っている人が居る?それによくよく見ると、悠宇たちってあまり見かけない服着てるわよね。もしかして私たちの知らない世界があるとか――」
それからもシェアトは1人で想像を膨らませながら歩きまわった。
「――ちょっと悠宇先輩」
すると、悠宇の袖を軽く引っ張りながら小声でちかが声をかけてきた。
「なんだ?」
「コールさんいなくなってから明らかに――シェアトの様子がおかしいと言いますか。なんか――コールさんを追い出したのって、悠宇先輩と――まあその。なんかいろいろ――うん――うん――まあ確かに悠宇先輩は――」
「おい。ちか。ちかも自分の世界入っていくな」
「なっ。入ってませんよ。悠宇先輩が誰とイチャイチャしようと」
「――めっちゃ入ってると見た」
「入ってないです。私には関係ないことです」
「はいはい。って、結局なんだよ」
「あっ。悠宇先輩が余計な事言うから」
「俺特に何も言ってない気がするんだが?」
「とにかく。シェアトはわざと私たちだけの状況にして――なんか聞こうとしてません?」
「いや――単に今なんかいろいろつぶやいているだけじゃないか?」
「というか。それにしてもこの後どうするんですか?ここにシェアトが居る限り私たち動けないですよ?」
「まあそうだが――」
「――ねえねえ。多分シェアトはそうやって、コソコソバラしてくれるのを待っていたんじゃないの?」
悠宇とちかがこそこそ話していると。ふと海楓が2人に声をかけた。その声で反応した2人が顔をあげると――。
「とりあえず何か隠しているわよね」
「「……」」
先ほどまで歩き回っていたシェアトがニコニコした表情で悠宇とちかの前に移動してきていたのだった。
「今ちかが『動けない』って言ったから――悠宇たちはどこかから来た。いや、どこかに繋がっている何かがこの近くにあるということかな。いや、あるね」
そしてシェアトは悠宇とちかを交互に見つつ。決定付けた。
「いや、シェアト、特に何か――」
何とか今のところは隠す――という方向に舵を切ろうとした悠宇がつぶやくが。悠宇がつぶやくと同時にシェアトがまた歩き出し。今度は駅員室――のドアの前に向かった。
「ふーん。じゃあ悠宇。この小さなレバー触っていい?これだけなんか違和感あったのよねー。さっきもコールが荷物おろしている時になんか悠宇がこの場所だけコールが近寄らないようにしていた気がするし。そもそもここに来た時。なんかちかが1人で動いていた気がするのよねー」
自身の推理を述べるシェアト。その話を聞いていた悠宇とちかはというと――『どうするのこれ』と、言った表情をともにしつつ顔を見合わせていたのだった。
「とりあえず。ぽちっと」
悠宇と、ちかが動けずにいると、シェアトはなんのためらいもなくスイッチ。レバーをカチッと触った。
が、レバーを操作するだけでは何も起こらない。
「――あれ?何も起こらない?起こらないじゃん」
すると以外にもレバーを触ったシェアトがわたわたとしだすのだった。
どうやらシェアト、このレバーで何か起こると踏んでいたらしい。
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