第49話 隠し通路
なかなか個性的で面白い仲間に囲まれたガクの話を聞いた悠宇たちは現在移動していた。と、いっても少し前にまだ席を立ったところだが。
今はガクが歩き出し。それに悠宇たちが付いていっているところ。
向かっている場所は部屋の出口――ではなく壁だ。壁は壁でも隠し扉があるところだった。少し前に自称イケメン?夢、イケメン?と呼ばれる事と話していたコールが戻っていったところだ。
ちなみにコールが戻った際にドアは閉められている。
一応もしもを考え基本毎回閉めているとのこと。
あと、このドアは外からは基本に開けることができないようになっているらしい。外から開けられるのは唯一ある鍵を持っているコールのみ。なのでもし誰かが不法侵入した場合(そもそも隠し部屋のある部屋。先ほど悠宇たちが話していた部屋に誰かが入っても問題らしいので、侵入者が居た時点でガクたち全員が責任――の前にこの町が滅ぶことになるらしいが……)。コールが全責任を取ることになっているらしい。
ならどうしてそんな部外者を入れるべきではないところに悠宇たちを案内しようとしているかというと。悠宇たちはすでに仲間とガクたちが認識したので、この後のことに協力してもらう重要人物ということで、シェアトにも紹介するべきということで今まさに案内されるところである。
なお、シェアトに同年代の子と久しぶりに話させてあげたいという。おじいちゃんたちの願いも半分くらい混ざっている様子だったり――。
「コール。開けよ」
「はい」
とにもかくも、ガクが壁の前で再度声をかけると、待ち構えていたようにすぐにコールがドアを中から開ける。
悠宇たちは先ほどははっきりとは見えなかった壁の先をガクの背中越しに見る。
ドアの先は、人1人が通れるくらいの通路が奥へと続いている。また地下へと道は下っているようにも見えた。
「すごいですね」
「ああ」
ちかと悠宇が話していると。今度はコール先頭に1列となって歩きだした。並び順はコール。ガク。ちか。悠宇。海楓。アクである。
隠しドアの先にあった通路は小さな明かりが点々とあるだけでギリギリ足場が見えるという状態だった。
「暗いから気を付けてください」
そのため入ってすぐ。コールのそんな声が悠宇たちにかけられた。
「迷宮の中に入ったみたいだね?」
「迷宮いうか。迷路いうか。いや一本道だから迷路ではないか。でもまだ他に隠し扉とかありそうだな」
歩きながら悠宇と海楓が話していると、後ろからアクが声をかけてきた。
「海楓殿や悠宇殿が住んでいる場所にも迷宮があるのか。そこはモンスター。魔物が出るのか?」
どうやら迷宮という言葉に反応したらしい。
「えっ?あー、そのなんていうんですかね。迷宮と言うより。あそこは敵がいるとかではなくてですね。ゲームというか。娯楽?でそういう建物があります。謎を解きながら仲間とゴールを目指すみたいな。危ないところではないです」
アクに聞かれるとすぐ前を歩いていた海楓が謎解き。脱出ゲームのようなことを例に挙げてアクに説明した。
「なんと、娯楽で迷宮に入るのか。今はどうなっているかわからないが。この国には迷宮と呼ばれる古代の遺跡がありましてな。その中では魔物が多数潜んでいると言われ国を挙あて殲滅するということも多々あったというのに。住む場所の違いでそれほどまで違うのか」
「あっ、遺跡ならこちらにもありますよ。でも遺跡も今は観光地になっていることが多いですね」
「なんと!?遺跡が観光地!?魔物は本当におらんのか?誰か――強者が殲滅させたのか?」
「いえ、ほんと危険とかはないんです。魔物も出ませんよ」
「信じられん話だの――」
何やら海楓とアクの情報交換が悠宇の後ろでは始まった。
ちなみに、悠宇は一応後ろの話も耳にしつつ『迷宮か。魔物とか本当にいるなら。マジでここにあまり関わるのダメじゃないか?本当に命の危機……』などと頭の中で思いつつ前に続いて歩いていた。
なおこの世界。本当に魔物などの敵はいるのだが――悠宇たちが遭遇することになるのはもう少し先の事である。
――悠宇。だからもう君たちは両足を突っ込んでいるんだよ。諦めよ。である。
「結構進みますね」
悠宇が後ろの会話に耳をたてていると、前を歩くちかが声をかけていた。
「ああ、思ったより進むな」
ちなみに悠宇の前をちかが歩いている理由は『後ろに悠宇先輩がいれば暗いところも安全です』と、言う理由からだ。そしてちゃっかりちかは悠宇の腕もちょこんと摘まんでいる。そのため少し悠宇は引っ張られる感じで歩きにくいのだが――こんなところでいじめてもなので、ちかに軽く引っ張られながら歩いている。
「――こちらになります」
すると前からコールの声が聞こえ。今までは人1人が歩けるスペースだった通路が少し広がり。2畳分くらいのスペースが現れ。少し通路の明るさも明るくなった場所に出た。そして悠宇たちがの目の前にはドアが現れた。悠宇たち3人はコール、ガクに進められるようにドアの前に移動する。
こちらのドアも厳重そうで、何やらノブのところに青いもやもやが光っている。
「悠宇殿。今はノブに触れないようにの。シェアトの許可がなければ今扉は開かない仕組みじゃからな」
ガクは悠宇たちがノブを見ていることに気が付き説明した。
「なんかすごいですね」
「ほんとだよ。って――このドアの向こうに」
「お姫様?がいると」
ドアの前に悠宇たち3人が立つとガクがドアの向こうに声をかけた。
「シェアト。わしらの協力者となった人を案内してきた。シェアトが姿を現す必要は本当はないのじゃが。シェアトも顔を覚えていた方が今後のために良いと思っての。それと、今回の協力者はシェアトと同年代の若者だ。久しぶりに会話してみるのもよいかと思ってな。連れて来たぞ」
ガチャ。
すると即だった。ノブのところにあった青いもやもやが消え。鍵の開く音がし。それと同時にドアが開くと。
「私にお客さん!?誰誰!!」
元気な声が悠宇たちの元へと届き――ひょっこりと金髪ボブカットの髪が見えたと思うと――次の瞬間にはドアが完全に開き声の主の全身が悠宇たちにも見えた――のだが。
肌着1枚だけを身に着けた姿の美少女登場に全員が固まったのだった。
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