第29話 学校生活は変わらない
不思議な体験をした翌日のこと。場所は教室内。
「おう!おとん。今日はお疲れか?っか朝からずっと何か考えてないか?」
いつも通り何も変わることなく朝を迎えた悠宇はいつも通り学校へと登校していた。
一応朝起きた際に鉄道模型の確認はした。
したが。やはりコントローラーのあるところ周辺以外はボロボロ。びっくりするくらいボロボロは変わっていなかった。
さすがに学校を休んで修理。または状況を警察に――ということは出来なかった。というか。泥棒説はもちろんあったが。果たして今警察を呼んで大丈夫なのか?という考えが悠宇の中にはあったのでとりあえず――警察への連絡はしていない。
鉄道模型のレイアウトが壊れたの相当な額の被害があったのは事実だが。それよりあの漆黒の蒸気機関車である。
ちなみに今日の悠宇はもしまた飛ばされて今度こそ帰ることができないといろいろ大変なことになりそうだったので、触れること。近寄ることもしていない。
あの蒸気機関車がなければ悠宇はすぐ警察に連絡していただろうが。もし警察を呼び。同じようなことが起こったら――と考えると。それはそれは大事になりそうだったの通報はやめたのだった。
謎は謎のまま残っている――。
そんな謎を抱えた悠宇はいつも通り学校生活を一応しており。いつも通り友人からいろいろ声をかけられたりしつつ過ごしていた。
しかし。昼休みのこと。獅子がそんなことを言いながら悠宇に近寄って来たのだった。
「いつも通りだが?」
「そうか?今日は女神様もお疲れなのか。オーラがちょっと弱い気がしたが――」
「えっ?海楓が?いつも通りだろ?」
もちろん朝登校時に悠宇は海楓とはすでに話している。そしてとりあえず放課後までは昨日のことは触れないことにした。
海楓は海楓でいつも通り完璧な演技をして学校生活を送っていたのだが――この獅子は何故か違和感を感じたらしい
ある意味すごい観察力――いや、怖い。
「いや、違うな。今日の女神様は疲れている。いや――時折何か考えてらっしゃる」
「――単なる獅子の気のせいだろうな」
「そんなことはない。これは女神様を観察する会会員ならすぐにわかることだな」
何故か誇らしげに胸を張る獅子。もちろんそんな姿を見た悠宇は呆れていた。
「――何その怪しすぎる組織」
「今考えた」
「――」
相手する価値ないか。と、ふと思った悠宇。獅子にバレると厄介だな――そもそも獅子は悠宇の家の鉄道模型をまだ知らないのでそれを知られるわけには――とかとか考えつつも変に考えすぎても――と、思った悠宇は適当に獅子の相手はすることにした。
「おい。おとん。無視か?」
「ああ」
「素直だな!」
「どうも」
「褒めてねーよ!ってか何があった、もしかして――一線超えたか!許さん!」
悠宇の座っていた席の机にドンと手をつく獅子。
「はい?」
しかし悠宇は何にも動じていない。というか。適当に相手をしているからである。
「みんなの女神様を奪ったか!」
「何を言っているのか」
「いつも弟とか言っていたが実は付き合って――」
「ないないない」
「本当だろうな?実はだまして――」
「ない」
「怪しいな」
「勝手にどうぞ。っか、海楓に聞いてきたらどうだ?」
「くー。いつも通りさらっと名前で――よし。悠宇。車にでも跳ねられて来い」
「死ぬわ」
「いや、悠宇なら異世界転生とかしそうだ」
「――なわけないだろ」
獅子の発言に一瞬ドキッとした悠宇だったが、幸いなことに獅子は悠宇の方を見ていなかったため。悠宇のちょっとした表情の変化には気が付かなかった。
「悠宇ならどこ行ってもやっていける。そう。この場じゃなくてもいい。女神様を置いて悠宇は旅立つべきなんだ」
「――なんか言い出したぞ。こいつ」
「悠宇何でもいい。死んで来い」
「さらっと人を殺すな!」
「悠宇なら親友以上の関係だからな。問題ない」
「親友以上の関係とかなった覚えないのだが?」
「おとん。おとーん。お客」
獅子のどうでもいい話に悠宇が付き合っていると、教室の入り口付近に立っていた男子生徒が悠宇のことを呼んだ。
ちなみに獅子の広げた『おとん』というあだ名に関してはあまり――と、思っている悠宇だったが。仕方なく返事をする。
「おとんはやめろ――って、客?」
返事をしつつ悠宇はふと廊下の方を見ると――暗めだが透明感のある青色の髪がちらりと見えた。もちろんそれだけで誰がやって来たかすぐに分かった悠宇は男子生徒の返事を待たず席を立った。
悠宇のところへとやって来たのはちかだ。
「おっ、異世界からの美少女ちゃんじゃん」
悠宇が席を立つと獅子がそんなことを言っていたが相手にしない悠宇。
ちなみに獅子はかわいい子ならOK。という考えらしく。ちかと初めて会った時から別世界の人扱いをしていた。一応――知り合い?という感じにはちかの中でもなっているみたいだが――2人だけで話しているところは見たことのない。
というか。そもそもちかが悠宇たちのところに放課後以外来るのがあまりないことだったため。少し視線を集めているちかだった。
今でこそ大丈夫だが。昔のちかだと――怯えてしまう。引きこもってしまうかもしれない空気である。ちなみにちかに気が付いた海楓はちかに向かって手を振っていた。
「どうした?ちか」
海楓へと軽く会釈をするちかの元へと悠宇が近寄る。
その際悠宇は声をかけてくれた男子生徒に軽くお礼を言った。その男子生徒は自分の仕事は終わったという感じでそのまま廊下の方へと出て行った。
ちかのところへと来た悠宇はそのまま廊下の窓際へとちかとともに移動する。
「すみません急に。ちょっと先輩が居るかちらっと様子を見に来たら――探していると思われちゃったみたいで」
あははーという表情で答えるちか。
どうやら何か用があった――というわけではない様子だ。
「俺が居るか?」
「いや――だって、昨日送ってもらってから先輩見ていなかったので、もしかしたら今日いない。とか――思っちゃいまして。飲み物買いがてらちらっと――」
「あー、そういえば、海楓は会ったが。ちかは朝は会わなかったからな」
ちかと話しつつ。そういえばちかとは朝会っていなかったことを思い出し。やっぱり今日はちょっと昨日いろいろありすぎて疲れていたか。などと思いつつ悠宇はちかに返事をした。
「そうですよ。連絡しようかと悩みましたが――朝からは失礼かと思いまして」
「なるほどなるほど。心配してくれたのか。さすが小さくてかわいいちか」
「――」
そしていつも通りの悠宇のいじりに今日は廊下ということもあり口を尖らせるだけのちか。
「悪い悪い。なんか俺もちか見ていつも通りと今再確認した」
「――放課後飲み物1本」
そう言いつつもまだ拗ねた様子のちか。多分放課後に悠宇が飲み物をあげれば機嫌は直すだろうが。などと悠宇は思いつつも――。
「飲み物よりコンビニスイーツ買ってやるよ」
「許します」
確実な方法というべきか。ランクアップを提案そして――ちかはちょろかった。
「早っ。って、まあなんだ。とりあえずは――気にするなだな。って無理か」
「嫌でも気になりますよ」
「まあ俺もだが」
「――放課後。どうするんですか?」
「うん?どうするって?」
「いや――また――試すのかな?と」
「あー、まあとりあえず休みに確認かと。っか、そうか。今日の放課後とかもしかすると文化祭の何かあるかもだわ。いろいろ決めそうだし」
「なら待ってます」
「えっ?」
「スイーツです」
「……了解」
目を輝かすちかを見た悠宇。一度言ったことは守る男悠宇は放課後ちかとコンビニと脳内に刻み込んだのだった。
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