第173話 高性能だった ◆

 誰も知らないところで新しい命が生まれた。

 というか生まれてしまった。

 本来は実体化するはずがなかったが。とあるイレギュラ―があった。

 生き物が生きられる環境と、無駄に生命力の強いこの世界に実在した奴の遺伝を持った新しい命。誰にも知られることなくひっそり誕生した。

 今はまだ小さな存在。しかし小さかったがゆえにカプセル内に充満していた栄養――ではないが。生き物が生きられる環境によりその新しい命は命をつなぎとめていた。

 

 すでにわがままエロガキ転生者が去ってしばらくしたこの土地。しかしカプセル内にはまだ十分な栄養がのようなものがあり。小さかった新しい命は着実に。通常よりゆっくりではあったが成長していた。今は10歳くらいの子供だろうか?幼さのまだ残る少女がカプセル内に居る。少し実際の10歳の子と比べると違和感。成長がおかしい身体の部分があったりしたが。それでもこの特殊な環境で良く成長している状況だった。


 そして、いつの間にか身体が大きくなったからか。はじめは下の方にあった身体も今はカプセルの真ん中あたりに自然と移動してきていた。

 幼さが残る少女が大きくなるとともにもともとカプセルのそこに残っていた成人女性――の一部だったものは綺麗に消えていた。

 切り離されたことで一時はこの中にとどまることになってしまったもともとは実体のなかった何か――しかしそれは綺麗になくなっている。

 つまりは長い年月とともに元のところに帰れた――と、なると良いのだが――果たしてどうなったかは誰もしない。

 また月日が経つと。カプセル内の少女は少しだがさらに成長した。カプセルの中という特殊な環境だったからかはじめのころは、栄養失調に感じられる身体だったが。今は少し落ち着いた。というべきか。小さく。細いなりにも人らしい形になりつつあり。そして今まではずっと身体の成長。身体を少しずつ大きくすることにすべてを使っていたのか。体毛。髪が一切なかったのだが。この頃になるとがゆっくりと生えだし。髪は後れを取り戻すかのように生えていき――ちょうどボブカットくらいに伸びた時だった。

 ついにカプセル内の活動が停止した。

 と言ってもたまたまカプセル内に生まれた命が小さかったことと。があったことでここまで新しい命を成長させたのだった。

 しかしカプセルが止まればこの新しい命も誰にも知られることなく――終わりを告げるのが普通の事なのだが。どうもわがままエロガキ転生者と言うのはしぶとかった。もともとルイ・ノグモの力もあったからか。最低限の能力。力でこのカプセルは維持が去れていた。たまたま大地に繋がつていたことも幸いし。まさかのハイテク。大地から少しだが栄養のようなものを吸収していた。そして無駄にすごかったのはその大地からの栄養のようなものでカプセル内の少女は知能まで――それは本当に少し。とってもとっても少しの情報量だったが。それが長期に渡れば子供レベルの知能はしっかり身についてしまうのだった。


 しかし、この空間はわがままエロガキ転生者という無駄に強かった男の守りがあったため。地上でいろいろなことが起こったりしてもびくともしなかった。

 また存在自体気が付く者がいなかったため。長きにわたり知られることはなかった。さらにさらに何度も言うが無駄に高性能ということもあり。たとえ土壌汚染があってもカプセル内には何の問題もなかったという――いろいろあのわがままエロガキ転生者はすごかったのだが――まあ誰の記憶にももう残っていない。それくらいの年月が経ったある日の事。


 わがままエロガキ転生者のそれはそれは上をいく。チート爺――ではなく。黒いマントを付けた人物が現れたのだった。

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