第104話 速度超過 ◆

 けたたましい警笛が聞こえてくると、多くの人が音の方を注目した。

 もちろ畑仕事をしていたガクも気が付き。何事かと駅の方へと向かうと暴走気味に接近してくる蒸気機関車があった。


「何事じゃアク」

「わかりません。しかし――また機関車が向かってきてますな」


 駅で作業をしていたアクと町の人も作業を手を止めて不思議そうに線路の先を見ていた。

 すると機関車の影はどんどんと大きくなり――。


「――ありゃ――止まれるのか?」


 アクがそんなことをつぶやいた時だった。

 漆黒の車体が駅へと一気に接近。


 ガタガタガタ……ビューン…………ガッシャン! 


「「「……」」」


 作りかけの駅のホームに居たガクやアク。町の人たちの前を砂埃をたてつつ漆黒の蒸気機関車が通過――ちなみにこの先は線路がない。正確にはあるにはあるが。悠宇の能力が使われていない古い線路のままだったため。少しだけ機関車は古い線路の上を走ることができたが。すぐに機関車の重さに線路が耐えれなかった。地盤が弱かったのだろう。猛スピードで走って来た機関車はそのまま実りの町を通過してすぐに盛大に砂埃を巻き上げ。そしてあたりに地鳴りを起こし――転覆したのだった。


 しばらくは何が起こったのかわからず。誰一人とその場を動くことができなかった。

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