第106話 跡継ぎ大切

 買い物と食事×2と悠宇たちの世界で、絶賛ぶらぶらと過ごしているシェアト。

 本来シェアトは身を隠すべき事態――なのだが。そんなことはもう覚えてないと言わんばかりに悠宇たちの世界を楽しんでいる状況だ。

 ここ最近の地下での我慢生活と美味しいものがあまり食べていなかった(実はシェアトは甘やかさ――大事にされていたので、他の人から見るとかなり普通の食事などをしていたのだが……本人は知らない。というか。外のことはほとんど知らず。コールの話。または持ってきてくれる物しか知らない。知る術がなかった。という状況だったので、気が付け。という方が難しいかと思うが――)という反動が一気に出ていた。また外を歩き回るというのも久しぶりだったため。いつも以上にテンションが高くなっていた。それも見慣れない町となれば上がらない方が無理な話である。

 なお、シェアトが楽しんでいる間に向こう。シェアトの世界ではいろいろなことが起こっているのだが――今のシェアトはそんな事知る由もない。


「ちょちょ、あそこにたくさんの種類のドーナツがあるわ!あっ、結局ドーナツ国との話は――って、今はいいわね。目の前にあるんだから。悠宇。海楓。ちか。あのお店寄っていきましょう」


 ――向こうのことはちょっとだけ。頭の片隅では覚えているみたいだが――今、また隅へと蹴とばされたのだった。


 そんなこんなでシェアトは悠宇たちの世界を満喫中。

 ちなみに家に帰る途中に見つけたドーナツ屋さんではお持ち帰りとなった。

 見つけた時こそシェアトも騒いだが。よくよく考えてみると、まださすがにお腹がいっぱい。というかやっとシェアトの身体がこちらにも適応してきていたりするのだが――本人たちは気が付いていない事である。

 そして、悠宇の荷物がさらに増えてからの事。

 

「ってか、家に帰ってどうするんだ?とりあえず――シェアトって俺たちがこっちで預かる?それとも――杜若に居た方がいいのか?」


 やっとお店が多くあるエリアを抜けたため、シェアトも落ち着きを取り戻していた。今は悠宇の隣を歩いている。そこで悠宇はこの後のことを確認しだした。


「うーん。私はどこでもいいんだけど――とにかく地下はしばらくいいわね」

「なるほど。でも、やっぱり向こうの方がいいのか?」

「どうなんですかね?でも――悠宇先輩の家では預かれなくないですか?というか、悠宇先輩とシェアトの2人は危険です」


 悠宇とシェアトが話していると、ちかも会話に入っていた。そして今悠宇を挟むような形になった。

 ちなみに海楓はそんな3人の様子を後ろでニコニコと見ていたりする。

 

「危険って」

「大丈夫よ。悠宇との子供作りくらいしかしないわよ」

「それがダメなんですよ!」


 サラッと飛んでもないことを口にするシェアト。

 すると。悠宇が反応するよりも早くちかが反応し。悠宇とシェアトの間に入り込んだ。並びがシェアト、ちか、悠宇。となった。


「なんでよ。普通のことでしょ?」

「そ、それは――向こうでは。かもですが。こっちはこっちの――です」


 そしてそれから少しシェアトとちかによる話し合いが行われて――。


「シェアトは私の家に来てもらいます」


 と、ちかが宣言するまであと少し。 

 しかし、この宣言は数十秒しか持たなかったりする。

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