第25話 破壊 §

「あー。すっきりしたー!!」


 とある丘の上。黒いマントをつけ顔を隠した人影があった。

 黒いマントの人影が見る方には町中穴だらけの町。三体崩壊した山。そして土砂によりせき止められた川の水が溢れ今まさに近くに敷かれていた線路を飲み込み。止められていた貨車などが水の中へと消えていく。そして水の勢いは止まることなくそのまま近くの町まで水浸しにした。

 

「最高ー。待ったかいがあった。壊しがいがあるねー」


 その光景を見て笑みをこぼす黒いマントを付けた人影。すると黒いマントを付けた人影の横に数名の同じく黒いマントを付け。顔を隠している人影がやってきた。


「ボス。マナ域の国。破壊完了しました。そしてまもなく大規模な山火事が起こります」

「よくやった。エーテル域の方はどうなった?」

「最北のユーゲントキーファー。ヴアイゼインゼルの町に関してはかなり強い結界があったため苦戦しましたが。南部はすでに火の海かと」

「ふむ。まあエーテル域の国はおっかないからね。全破壊するとあのポンコツ魔王がブチ切れるかもしれないから。って、もう生きてないか。知らないけど。まあ適当にでいいでしょ。完全破壊が目的ではないしね」

「はっ」

「ボス。普通域に関してはどうしましょうか?このままでも周辺国をやれば自然と消滅の道しかないでしょうが――」

「あのあたりは大して何もないからね。あのクズも手を付けてない場所だったし。草原――生き物も少ないはず。それにあんなところに何か隠しているとは思わないし。そもそもすでに消滅の危機の国。まあほっておけばいいでしょ。無駄な労力は使わなくていい。それよりあのクズの痕跡を消せ」

「はっ」

「それで、ヒメルヴアールハイトの方は?」

「準備できております」

「昔のように大魔力の地にまもなく戻るかと」

「残りの仲間もすでに向かっています」

「素晴らしい。じゃ、私たちも向かいましょうか。始まりの地に」

「「「はっ」」」

「――自分が作り上げてきたものが崩れ去るのを見るがよい。元英雄――すべて私が壊してあげよう」


 ボスと呼ばれた黒いマントを付けた人影が動き出すとそれに続くように他の人影も動き出す。そして、黒いマントを付けた集団はその後すぐにその場から姿を消したのだった。

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