第95話 お出かけ!6

 食後は服屋へと決まっていたが――悠宇たちが服屋へと移動したのは、朝ごはんを食べてからしばらくしてからだった。

 何故なら満腹娘が動けなかったからだ。


「いやー、子どもでも出来たみたいに動けなかったー」


 今でこそ普通に歩いているが少し前までのシェアトは椅子からも動けなかった。

 そりゃあれだけの量を一気に食べれば――であるが。


「にしてもシェアト。ホントすごい食べていたよね」

「そりゃあんなにおいしそうなものがあったら食べておかないと。向こうに戻ったらまたいつも同じ食事とかになっちゃうかもだし」


 ちなみに今は服屋に向かって歩いているとところ。シェアトとちかが並んで歩いている。


「あっ、やっぱり。生活は厳しかったんだ」

「そりゃね。食べ物も町にあるものしかないって感じだったし。って、私地下に居たからほとんど状況なんて知らないけどー」

「――本当に厳しかったのかは謎だな」


 シェアトとちかの話を後ろで聞きながら悠宇は絶対ガクやコールが苦労していたんだろうな。などと思ったりしていた。

 

「ガクさんたちシェアトを甘やかしていた感じかな?」

「だと思う。多分だが」


 ちなみに海楓も悠宇と同じことを思っていたらしく。悠宇が前の2人を見つつ思っていると声をかけてきた。


 なお、現在の海楓。ちょっと学校モードになってきている。

 たまたまなのだが先ほど同級生の姿があったらしく。少しだけシャキンとした。

 こちらはこちらで少しシェアトたちの世界では素のモードで居たため『あぶないあぶない』などと言っていたりするのだが。それは悠宇しか聞かなかった言葉である。

 悠宇的には『バレたらいいのに――』と、心の中で思っていたが。さすがに海楓はそこまでは察知出来ていなかった。

 ちなみに、海楓が学校モードになったのは、先ほどお店を出てから。朝ごはんを食べにいく時は特に誰かに会うこともそもそも休日の早い時間だったため。学生の姿がなく。海楓もそこまで気にしていなかったが。時間がお昼に近づいてきていたためスイッチを入れたのだった。

 そのため、まだシェアトとちかは、海楓の変化に気が付いていなかったりする。


 それから少し話しながら歩いた悠宇たち4人は服屋へとやって来ていた。

 全くこちらの服は持っていないシェアトのために海楓とちかはなるべく安く買えるお店を選んでいた。

 

「おお、すごい、大きなお店ね。そしてたくさん服があるわね」


 シェアトはというと、食べ物の時よりかはくらいついていなかったが。それでもたくさん服が並んでいる光景は珍しいらしく。店内に入ってからはまず店内を一周していたのだった。

 そしてくるっと店内を回った後。


「悠宇!どんな下着付けてほしい?」

「ぐはっ」


 何故かまずシェアトが選ぼうとしたのは下着だった。

 一応この目立つ3人の警護――ではないが。女性陣だけではということで、入りにくい――と言えば入りにくいが、でも紳士服売り場も少しだけあるお店だったので、悠宇が頑張って3人に付いて行っていたのだが――。

 シェアトの行動に悠宇のライフポイントは一気にダメージを受けたのだった。

 もちろん周りに居たお客の視線を集めたのは言うまでもない。

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