第102話 お出かけ!10

「マジか」

「シェアトの身体――どうなっているの……?」


 服屋を後にした悠宇たちは歩きながら今後の予定を話していたところ。そしてどうやらこの後は昼食となるみたいなのだが。

 朝ごはんで1人だけ大量に食べていたシェアトのお腹空いた発言により悠宇とちかが驚きながらシェアトを見ているところでもある。


「うん?私おかしなこと言った?」

「「言った」」


 そして、悠宇たちの声が聞こえて振り向きながら2人へと確認してきたシェアトに対して悠宇とちかが声をそろえて反応すると。その様子を見ていた海楓がクスクスと笑いながらシェアトに話しかけた。


「まあまあ、えっと、シェアト何か食べたいものある?」

「うーん。さっきもどれもおいしかったし。こっちの物はどれもおいしそうだから……って、ちょちょ、海楓。これ何?なんか回ってる!?」


 少し考えながら歩いていたシェアトがふと足を止めてちょうど真横にあるお店を指さした。

 悠宇たちもつられるようにシェアトの指差す方を見ると、そこには回転寿司と書かれた看板が出ていた。


 どうやらお昼ご飯が決定となったらしい。

 シェアトの表情が入りたいと言っていた。


「いらっしゃいませー。受付はそちらの機会からお願いします」


 悠宇たちが店へと入ると、半分ほど店内の席が埋まっていたがまだ空きがあったので、受付を悠宇が済ませると。すぐに4人はテーブル席へと向かった。

 そして朝の時と同じように悠宇とちか。シェアトと海楓が隣同士で座る。


「おお、すごい。って――これ何が回ってるの?メニュー?」


 席に座ると早速シェアトは目の前のレーンに興味津々だった。

 

「だね。注文はこの機械でして――頼んだ商品は上にあるもう1つのレーンで来るんだよ」

「へぇー、面白い。で、何がここでは食べれるの?」

「えっとね。この機械をこうやって――」

「うんうん。板に映る――魔法?とにかく。これで選ぶのね」

「そう、ここを押すと、ページが切り替わるから」


 そして海楓が注文の機械を操作してシェアトに教えるとすぐにシェアトは覚えたらしく。即注文を開始した。

 シェアト。なかなかこちらの世界へと適応が早かった。


「本当にシェアトもうお腹空いたのかな?」

「まあ無理している感じはないよな」


 一方悠宇とちかがシェアトの様子を見つつコソコソと話していた。


「あの身体のどこに――」

「もしかしてこっちの世界に来るとなんか違うとか?そういえば俺たちもシェアトのところ行ったときは――って、その時はお腹ほとんど空かなかったよな?」

「あー、そういえばそうでしたね。でも食べたら普通にだったというか――でも今思い出すと、そこそこ食べなくても――って感じは継続でしたよね?あー、でも今日行ったときは空いたかも――ですかね?」

「だよな。でもシェアトはこっちに来てから食べる食べる――」

「もしかして向こうからこっちの場合は、すごくお腹が空くとか?」

「か、単に慣れというか。俺たちがいろいろ初めてのところで、向こうでは知らないうちに気を使っていて――とかかもしれないし」

「それだとシェアトは――」


 呟きながらシェアトを見る悠宇とちか。そして2人は顔を見合わせ。多分。シェアトは即慣れた。特に緊張とかしていないと考えたのだが――。

 実際今のシェアト。というか悠宇たちの世界に来たシェアトは一切緊張をしていなかったりする。むしろ、新しい土地でわくわくしていたくらいである。

 なお、今のシェアトは無限の食欲――みたいに食べているが。実はこれ、先ほど悠宇とちかが話していたことが少し近かった。

 悠宇たちの世界とシェアトの世界を行き来すると、少しだけ身体がいろいろと追いついていなかったのだ。

 悠宇たちの場合は、空腹にならなかった。

 一方のシェアトは空腹になった。

 そしてその症状は自然と直っていくので――この後悠宇たちがそのことに気が付くことはなかったりする。

 もちろん少しずつシェアトの食べる量が普通になっていくことには気が付くが。そこまで気が付く者はいなかった。


「とりあえず――この天ぷら?盛り合わせと――らーめん。というのもおいしそうね。あっ、ここにもお菓子があるのね。ケーキは――ないのかしら?あっ、フルーツの盛り合わせいいわね」

「「「……」」」


 それからというと、まず一回目の注文。何故かシェアトは目についたものを次々選んでいたのだが。お寿司に目が行くことはなく。サイドメニューばかり注文することになったのだった。

 その様子を見ていた悠宇たち3人は――とりあえず保護者ポジションで自由に選ばせたのだ――。


「この日本酒、チューハイというのは飲み物かしら?おいしそうね」

「ちょちょ」


 が。さすがにアルコール類を普通に頼もうとしたところで悠宇たちは止めに入ったのだった。

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