第17話 線路は続くよ。悠宇が願えば――。
「――」
口を半開きにして固まっている男性が居る。それは尾頭悠宇である。
何故かわからないが。突然見知らぬ土地に飛ばされた後。いろいろと独り言をつぶやきつつ。状況確認をしていたら。
真新しい線路がすでに蒸気機関車の乗っていた線路から先に作られだしたのだ。
「――これを魔法と言わずなんという。いや――魔法でもないか?って、なんじゃこりゃー!?」
ずっと1人でいろいろつぶやき。そして叫んでいる悠宇。情緒不安定とそのうち誰かに思われてもおかしくないが――今のところこの場には悠宇しかいないため。何を悠宇が言おうと心配する者はいなかった。
「いやいやいや、何がどうなってるんだよ」
まるで1人劇場でもしているかのように悠宇は新しく出来ている。
いや、生まれている線路のところへと近づく。
線路が出来ているスピードは決して早くはない。でも悠宇がゆっくりと淡い光を発している線路の方に近づくと、着実に線路は伸びている。
ちなみに小刻みな振動は近寄っても特に強くはなっておらず。少し地面が揺れている?程度である。そのため悠宇はあまり地面が揺れていることは気にしなかった。というより、目の前で線路が生まれるという謎な光景に吸い寄せられるようにそこばかり見ていたのだった。
「――これ――俺が言ったからなのか?ってか、これどこまで伸びるんだ?」
悠宇が驚きながらつぶやいている間も今のところゆっくりと線路はまっすぐ延びていっている。寸分の狂いもなくまっすぐ伸びているようだった。
小さな石とかがあってもそれはスーッと消えていき。さらに線路が現れるとちゃんと枕木。砂利も現れ、すでに1メートル程度真新しい線路が完成している。
なお、どこにこの線路が向かっているかは悠宇にはわからなかった。とにかくまっすぐ進んでいる。そのため悠宇はとあることを試してみた。
「――線路。そこまで」
本当に思い付き。
線路に語るように悠宇が声をかけると――線路のところから発せられていた淡い光が消えていき。それ以降新しい線路が現れることはなくなった。
中途半端に線路の新設がが終わったという表現が正しいだろう。真新しい線路のすぐ先。前にはボロボロの線路。または枕木のみ、はたまた土だけという状況だ。
「線路。そのまままっすぐ再開」
再度悠宇が線路に向かって語りかけると――また淡い光が発せられ。地面が小刻みに揺れ。線路が生まれだした。
「――マジか。っか、どこに向かっているかわからないから線路。一旦停止」
悠宇が再度線路に声をかけるとまた淡い光はすぅーっと消えていき。線路が生まれることはなくなった。
「――これ、何がどうなっているというか。やばくね?えっ?もしかして――これが異世界での俺の能力とかそんなことないよな?線路作れる能力って――?まさか」
再度独り言を言い出す悠宇。そもそもここが異世界なのかもわからない。でも明らかに非日常的なことが目の前で起きたので、半笑いしつつ悠宇はそんなことをつぶやいたのだった。
なお、この時発した悠宇の言葉。ほぼほぼ正解だったとのちに悠宇は知ることになるのだが――まだ半笑い中。今起こった事により再度頭の中が混乱していていた悠宇はまだ知らない事である。
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